北海道で「核のごみ処分場」に続々手が挙がる訳 背景には人口減や財政難など複雑な事情がある

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核のごみの最終処分場誘致に応募する北海道の寿都町(写真:CRENTEAR/ PIXTA)

「核のごみ」(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定を巡る北海道内の動きが大きく進んだ。8月に片岡春雄町長(71)が国の選定プロセスの第一段階である文献調査応募検討の方針を表明していた寿都町(すっつちょう)は、8日午後に開いた町議会全員協議会後に、応募することを正式に発表した。片岡町長は9日、東京港区の原子力発電環境整備機構を訪れ、応募書類を提出した。

一方、北に約40キロ離れた神恵内(かもえない)村では、8日午前中に開かれた村議会で商工会が提出した文献調査受け入れを求める請願を賛成多数(賛成5、反対2)で採択した。その後、記者会見した高橋昌幸村長(70)は「少し時間をいただき近いうちに表明したい」と語り、表明は9日以降となった。経済産業省の職員が9日に同村を訪れ調査を申し入れる予定で、それを受けて村長が受け入れを表明するものと見られている。

【2020年10月9日16時追記】初出時、方角について事実と異なる部分がありましたので、上記のように修正しました。

寿都町、神恵内村は深刻な人口減に悩み、過疎化が止まらず、財政も厳しい。文献調査応募によって得られる国からの20億円の交付金は、過疎化対策にとって魅力的なのだろう。

全国各地の自治体が同じような苦悩を抱えているだけに、両自治体の動きに追随する自治体が出てきてもおかしくない。今、過疎の実態はどうなっているのか。寿都町、神恵内村の現状を探った。

寿都町は漁業と水産加工業の町

江戸時代から大正時代にかけニシン漁でにぎわった寿都町。現在も主要産業はホッケなどの漁業と水産加工業だ。北海道南西部の日本海に面した町で、札幌からは約150キロメートル、車で3時間かかる。

1920(大正9)年には寿都町と国鉄函館本線の駅がある黒松内町間に寿都鉄道(私鉄)が開通し、ニシンや鉱産物などの輸送にあたったが、鉱山は廃鉱となりニシン漁も衰退し、1972年に廃止となった。

1950(昭和25)年当時の人口は1万1468人もあったが、現在(9月末時点)は2905人と最盛期の4分の1に減ってしまった。1990年の4858人と比べるとこの30年間で4割減。人口減が止まらない。

少子高齢化も加速するばかり。2020年1月1日現在の住民基本台帳によると、子ども人口(0~14歳)は256人で全体の8.7%。老年人口(65歳以上)は1170人で40%となっている。ちなみに全国平均は子ども人口比率が12.21%、老年人口比率は27.91%だから、深刻だ。

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