北朝鮮の非核化問題は「三すくみ」状態に

米、韓、北朝鮮のトップ発言を読み解く

4月11日、ホワイトハウスで韓国の文大統領(中央左)と会談するトランプ大統領(写真:CNP/DPA/共同通信イメージズ)

今年の4月11日は朝鮮半島に関する大きなニュースが重なった特異な日だった。

ワシントンではアメリカのドナルド・トランプ大統領と韓国の文在寅大統領が北朝鮮の非核化などをめぐって会談し、同じタイミングで北朝鮮の首都・平壌では国会にあたる最高人民会議が開催されていた。

スイスのジュネーブでは、東京電力福島第一原発事故の被災地などからの水産物を韓国政府が全面禁輸としていることについて、世界貿易機関(WTO)の上級委員会が日本逆転敗訴の判決を出した。一方、韓国の釜山では地元自治体が日本総領事館近くの歩道に設けられていた徴用工像を近くの公園内に移すことを認め、翌日撤去された。なんともあわただしい一日だった。

文大統領にとって「起死回生」の訪米

そんな中で最も注目されたのは非核化をめぐるアメリカ、韓国、北朝鮮の動きだった。まず米韓首脳会談だが、相性が悪いといわれているトランプ大統領と文大統領が対北政策をめぐってぶつかってしまうのではと心配されたが、表向きは「米韓両国は北朝鮮問題で緊密な協力関係を続けていくことが重要であることを確認した」(ホワイトハウスの公表文書)としている。しかし、内実はかなり意見の違いがあったようだ。

2月末にハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が決裂したことで、最も大きなダメージを受けたのは韓国の文大統領だと言われている。首脳会談実現の仲介役を自認する文大統領は、米朝関係が改善すれば、全力を挙げて取り組んでいる南北関係の改善と「南北経済共同体構想」が大きく前進するはずだった。ところが米朝首脳会議の決裂によって、このシナリオは根本から狂ってしまった。

そこで文大統領が描いた次のシナリオは4月中に南北首脳会談を行い、それを受けてトランプ大統領が韓国を訪問し、文大統領が北朝鮮の金正恩委員長の意向を伝え、そのうえでトランプ大統領と金委員長が板門店で3回目の首脳会談を行うというものだった。

一連の会談を通じて、北朝鮮の非核化を部分的かつ段階的に実施しようという考えで、自ら「グッド・イナフ・ディール」と名付けている。これを実現するには北朝鮮に対する国連の制裁の解除を部分的にでもトランプ大統領に受け入れてもらわなければならない。今回の訪米は文大統領にとって起死回生の機会でもあった。

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