南北合同チーム結成に見る文大統領の身勝手 平昌オリンピックで度を越した政治利用

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女子アイスホッケーの韓国・北朝鮮合同チーム結成が決まった。文在寅大統領は自分の人気取りに平昌オリンピックを利用?(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

平昌五輪への北朝鮮の参加を国際オリンピック委員会(IOC)が認めたことで、南北合同の選手団が開会式で入場行進することになり、北朝鮮に関して久しぶりに前向きの話が出てきたように見える。しかし、ことはそれほど単純ではない。外交・安全保障政策上の観点からは、「韓国政府が北朝鮮にいいように利用されている」などという批判が出ている。さらには五輪の政治利用という観点から見ても問題だらけである。特にひどいのが「女子アイスホッケーの合同チーム結成」だ。

IOCの決定では、北朝鮮はスキー、スケート、女子アイスホッケーの3競技に合計22人の選手と役員やコーチなど24人を派遣することが承認された。このうち女子アイスホッケーは12人で、試合ごとに北朝鮮の選手を最低3人起用するという。五輪開催までわずか20日余りという段階で、韓国のアイスホッケー女子チームに、これまで一度も一緒に練習したことすらない北朝鮮選手を加えるというのは、この競技を多少でも知っている人であればとても考えられない話である。

アイスホッケーという競技の性格を無視

アイスホッケーは「氷上の格闘技」といわれる。スケートリンク上で選手が激しくぶつかり合いながら、スティックを使って、直径3インチ(7.6センチ)の硬質ゴムでできた円形の小さなパックを狭いゴールに打ち込む競技だ。乱暴な競技に見えるが、計算し尽くされたチームプレーが不可欠だ。選手たちは前後左右に巧みに滑りながらパックを運び、仲間の選手にパスを回し、ゴールキーパーの体の重心の動きを見ながらわずかな隙に打ち込む。仲間同士の連携、機敏な動きや瞬時の判断などが不可欠で、力だけでなく繊細さも必要な複雑なスポーツである。

試合に登録するのは1チーム23人で、このうち22人がベンチに入り試合に出る。ゴールキーパーは3人。残る20人は5人1組のセットを作り、試合中にセット単位で頻繁に交代する。というのも前傾姿勢を維持しつつ氷上を走り回ると体力の消耗が激しいため、どんな選手でも最長で2分間のプレーが限界と言われているためだ。

したがって日常的な練習では、個々の選手がプロレスなどの格闘技の選手に並ぶ筋肉トレーニングをするとともに、氷上ではセットを中心にそれぞれの癖や得意技を踏まえつつ連係プレーの上達を目指す。時間をかけたチームづくりが求められるスポーツでもある。

世界的には米国やカナダ、ロシア、そして北欧や東欧諸国が圧倒的に強い。世界ランキングを見ると、男子は日本、韓国ともに20位台だが、女子は日本が7位と健闘しており、韓国はこちらも20位台である。五輪に出場できるのは男女とも8チームだけ。日本女子は実力で五輪出場を続けているが、韓国は男女とも実績だけで五輪に出場したことはない。

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