北朝鮮にとってトランプは「都合のいい男」だ 本当に不安定なのは金氏かトランプ氏か
イスラエルの歴史学者・執筆家のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、ほとんどのテロリストは陶器店を破壊しようとして飛び回る無力なハエのようなものだと話す。
「ハエは力が弱すぎてティーカップ1つをも押し傾けることができない。よってハエは見つけた雄牛の耳に入りその中でブーンと音を立てる。そうすると雄牛は恐怖と怒りで暴れ出し陶器店を破壊する」と例える。
北朝鮮が米国を攻撃する可能性
テロリストはドラマチックな手法で挑発してくるため、狙われた側が過剰反応し、自分たちはテロリストよりもっと強く恐ろしいのだと威嚇してくるのだ。このハラリ氏の類比論は、ドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の金正恩委員長の好戦的な発言に過剰反応することで、意図せず引き起こされる可能性のあるダメージに対する辛辣な警告である。
北朝鮮は近いうちにサンフランシスコを破壊する能力のミサイルを開発する可能性がある。しかし、正恩氏が実際に米国を「狙う」ことはあるのだろうか。米国は過去70年以上もの間、比較にならないほど強い破壊力を持つ核兵器で攻撃を抑止してきた。
「旧ソビエトは数千もの核兵器を保有し、米国本土を繰り返し破壊する能力を持ち合わせていた。そのソビエトを思いとどまらせてきた米国が今なぜ北朝鮮を恐れないといけないのか?」と外交政策アドバイザー、ブラッド・グロッサーマン氏は問いかける。
同氏は、米国の有力シンクタンク、CSISパシフィック・フォーラム事務局長を務めるほか、多摩大学ルール形成戦略研究所の客員教授でもある。同氏の見立てでは、正恩氏は、核兵器を米国や、その同盟国に対して最後の砦としてしか使わないはずだ。
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