米国との詳しい比較
アジアの国々との比較を見てきましたが、次に、トップを行く米国との差はどうなのかを見てみましょう。
米国は “ Industrial Relations”を除いた “Business, Management and Accounting”の全ての分野で1位です。1位の米国との差がそれほど大きくないということであれば、各国が団子状態にいるということですから、多少の順位の差をそれほど深刻に考える必要はなくなります。
ここでも比較のために、理系の分野である “Chemistry”と”Materials Science”を先に見てみましょう。
“Chemistry”全体での米国の引用数は約624万件であるのに対し、日本は約224万件で、米国の36%となっています。
サブ・カテゴリーでは次のようになっています。
・Organic Chemistry 42%
・Electrochemistry 57%
・Inorganic Chemistry 35%
・Spectroscopy 32%、
・Analytical Chemistry” 31%
次に、 “Materials Science”では総合で米国257万件、日本122万件で米国の48%となっています。八つのサブ・カテゴリーの日米比は、以下のとおりです。
・Biomaterials 35%
・Ceramics and Composites 57%
・Electronic, Optical and Magnetic Materials 45%
・Materials Chemistry 51%
・Materials Chemistry 40%
・Metals and Alloys 63%
・Polymers and Plastics 46%
・Surfaces, Coatings and Films 81%
“Biomaterials”を除けばほぼ米国の半分となっており、国の規模を考えると、対等以上にがんばっていると言えそうです。
では “Business, Management and Accounting”の分野はどうでしょうか。総合では1位米国の被引用数985,466件に対し、9位の日本のそれは32,559件で比率は3.3%、米国の約30分の1です。サブ・カテゴリーはどうかと言うと、以下のとおりです。
・Accounting 867/165,666 ≒ 0.5%
・Business and International Management 5,489/301,059 ≒ 1.8%
・Industrial Relations 11/550 ≒ 2% (ここでのトップは英国。米国は549件で2位)
・Management Information Systems 629/88,423 ≒ 0.7%
・Management of Technology and Innovation 5,609/292,557 ≒ 1.9%
・Marketing 19,335/146,329 ≒ 13.2%
・Organizational Behavior and Human Resource Management 878/88,300 ≒ 1%
・Strategy and Management 4,539/324,785 ≒ 1.4%
・Tourism, Leisure and Hospitality management 305/16,678 ≒ 1.8%
・miscellaneous 3,399/149,952 ≒ 2.3%
いかがでしょうか。 “Marketing”の13%を除くと総じて1~2%で、米国との差は圧倒的です。最も健闘している “Marketing”でさえ、 “Chemistry”や”Materials Science”で米国との比率が最も低いサブ・カテゴリー(米国の30%程度)よりも低い値となっています。こうしてみると、経営学の研究力の低さは悲惨と言ってもよい状況です。
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