シシド・カフカが語るライブ活動の「現在地」 コロナで音楽をやめた人は周りにいなかった
コロナでフェスなどの出演が白紙に
初めて見る人は、今までにない演奏スタイルに何がどうなっているのか不思議に思うかもしれない。客席に背を向けて立ち、名だたるパーカッショニストやドラマーで構成された演奏者たちにしきりに手ぶりでサインを送っているのは、シシド・カフカ。演奏者たちはコンダクター(指揮者)であるシシドのサインに瞬時に反応して、即興でリズムを生み出していく――。
一般のバンドのように決まった曲があるのではなく、毎回ライブごとにまったく違う曲が演奏される。これが、シシドがプロデュースするリズム・イベント「el tempo」である。
この演奏スタイルは、アルゼンチンを代表する音楽家、サンティアゴ・バスケスが開発したもの。シシドは2015年に彼が主宰するリズムイベントでこのサインシステムと出会い、感銘を受けた。2017年、ブエノスアイレスに2カ月間留学し、バスケスに師事。そして2018年、音楽への新たなチャレンジとしてel tempoを立ち上げたのだ。
2018年10月の「お披露目ライブ」を皮切りに、群馬・高崎や横浜など年に数回多忙なメンバーが集まり、ライブを開催。今年4月には新たな試みとして、百貨店の屋上でもライブをやる予定だった。
「2020年は“el tempoイヤー”にしようと思ってたんです。今までは参加メンバーのファンと私のファンというところでしか広がりがなかった。まずは知ってもらうことが大事だから、いろんなフェスとかイベントとかにアプローチして、出られるだけ出ていこうと思っていたんです」
ところが、新型コロナウィルスの感染拡大で、予定していたフェスやイベント参加は新型コロナウイルスの影響ですべて白紙となってしまう。
「ものすごく残念なことだとは思っています。ただできなくなったことをいつまでも嘆いていてもしょうがないので、外出自粛期間中はメンバーとコミュニケーションを取りながら、みんなが練習できるようにハンドサインのムービーだったり、パソコン上で音をつくったりして『教則つくりました』って送りつけたんですよ(笑)。あとは自分の叩いて歌うほうの音楽で何ができるか模索しつつ……という時間を過ごしていました」
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