シシド・カフカが語るライブ活動の「現在地」 コロナで音楽をやめた人は周りにいなかった
「たぶんミュージシャン全員そうだと思うんですけど、お客さんがたとえ1人であっても、望んでくれる人の前で演奏して、拍手をもらえる、その仕事に携わっている、そういう場をもらえるということに改めて感謝しています。
だからこそ、貪欲になってるかもしれない。もっとそういう場所を自分でクリエイトしていかないといけない時代になっている。もっと小規模で、簡単に動けるもので、少ないお客さんとコミュニケーションを取りながら音楽を作る。それはもともとやってみたいことではあったんですけど、もしかしたら本格的に動かす時期なのかもしれない」
「やっぱり音楽って楽しい」
el tempoだけでなく、個人での音楽活動や女優として幅広く活動しているシシド。その中で、リズムだけに焦点をしぼり、一途に、ストイックなまでに極めていこうとするel tempoは、どのような位置づけなのか。
「今まで本当にいろんなことをやらせていただいて、『シシド・カフカって何だったっけ?』となってしまったときもあったりして、自分が本当に楽しいと思えるものをもう一回見つめ直したときに出会ったのがハンドサインシステムであり、el tempoだった。そういう意味では、自分の中では仕切り直しでもあるし、一番継続できたらいいなというくらい熱い思いで始めました。
そこにたくさんのミュージシャンが賛同してくれて、物事が進んでいって『やっぱり音楽って楽しいな』って思う。ここで自分の立ち位置を自分で見い出すことができれば、もっといろんなことにも臆さずシシド・カフカとして挑んでいけるんじゃないか、という気持ちです」
コロナ禍においても「el tempoの活動がある」ということは大きな励みとなった。「el tempoがなかったら、このまま私は廃れていくと思ったかもしれない」とも語る。
このサインシステムを使っているバンドは世界中にたくさんあるが、ラテン音楽にはないドラムセットを導入したのは日本だけ。el tempo独自の「いい感じに」や「かわいいの」というサインも作り出した。勉強熱心な観客が多く、ハンドサインを覚えて拍手などで加わろうとするのも日本人的な楽しみ方だという。
「サンティアゴ(バスケス)が『世界中のハンドサインを使ってるバンドを集めて、コンペティションを開催したい』と言ってるんですよ。『どのチームのパフォーマンスが一番優れているか決めたい』って。開催が叶ったら、和太鼓を持ち込んで頑張りたいと思ってます」
(敬称略)
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