若いあなたが将来「不健康」になりかねない危機 超長寿時代、日本人の身体と社会構造が心配だ

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現役世代の健康状態を見ると将来が心配になってくる(写真:xiangtao/PIXTA)
「日本=長寿国」というイメージに反して、今の現役世代の身体データを見ると、その人たちが高齢者となったときに心配な姿が見えてくる。
さらに、ここに「人口減少」などの社会変化が加わると、ますます将来の日本人の健康レベルは危機的状況に。『100年時代の健康法』著者・北村明彦氏が解説する。

全労働者中「1割」が高齢者

最新のデータでは、日本人の平均寿命は女性が87.3歳、男性が81.3歳です。2050年には女性の平均寿命が90歳を突破するとされ、「人生100年時代」は本当に目の前です。

しかし、全員が90年近くを健康な状態でフルに生きられるわけではありません。「長く生きる=不健康な期間が長くなるだけ」かもしれない将来を思わせるデータが、続々と上がってきているのです。

内閣府の調査によると、労働人口に占める高齢者の割合は右肩上がりに増えていて、2016年には労働人口6673万人のうち、65~69歳の人が450万人。70歳以上も336万人いて、日本で働く人全体の約10%は高齢者です。

一見、元気な高齢者が増えているようですが、医療機関を受診する人は後期高齢者で約73%と高水準です。

では現役世代はどうかというと、定年の延長が叫ばれているにもかかわらず、高齢者以上に心配な実状が見えてきます。

体が衰えないためには筋力が重要ですが、「歩数」はその筋力を保つ重要なバロメーターです。

ここ15年間の歩数の推移を見ると、70歳以上では微増か横ばいとなっています。しかし、69歳以下の数字を見ると、すべての年代で歩数が減っています。とくに若い人が歩かなくなっているのです。

20代男女では、共に約10%近く歩数が減っており(男性:8925歩→7904歩、女性:7185歩→6711歩)、30代でも同様の傾向です。

運動習慣を持つ人が若い人には多いですが、それは週に1、2度のこと。また、テレワークが推奨され、通勤で稼げていた歩数も減っています。日常の運動量としては減少傾向にあるといっていいでしょう。

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