若いあなたが将来「不健康」になりかねない危機 超長寿時代、日本人の身体と社会構造が心配だ

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「体が衰えてどうにもいかなくなれば、要介護認定を受けて……」と思われるかもしれませんが、介護する人たちが圧倒的に不足している問題もあります。

日本全体の医療費増大を抑えようと、入院を減らして在宅医療・介護やデイサービスへの切り替えが図られていますが、介護人材そのものが現時点で不足しています。2025年には245万人の介護人材が必要とされますが、2016年時点で190万人しかいない人材が9年間で55万人も急増することは考えられません。

今後、サービス対象者と認定される人はより制限されるでしょう。

離職率の高さも要因

介護職員の離職率は高く、調査によると16.7%に上るとのこと。離職者中、1年未満で離職する人は38.8%を数えます。

介護を必要とする人は増えていくのに、介護をする人は減っていくという厳しい現実が存在しているのです。

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2040年には、人口が多い都市部の高齢化率が現在最も高齢化が進んでいる秋田県と同程度となり、高齢者の介護ニーズに対応できなくなることが危惧されています。

人生100年時代を生きる未来の日本の高齢者は、もしかしたら今よりはるかに老けているリスクがあります。それに加え、もし衰えてしまっても、周りに助けてくれる人がいるとは限りません。

「人生100年時代とは健康自衛の時代」と捉え、今から自分の体と向き合っていく必要があるのではないでしょうか。

北村 明彦 東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム 研究部長

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きたむら あきひこ / Akiniko Kitamura

医学博士。1989年筑波大学大学院医学研究科を修了後、大阪府立成人病センター、大阪府立健康科学センター、大阪がん循環器病予防センター、大阪大学で診療・研究・教育に従事。2016年1月より現職(2020年度現在)。生活習慣病予防と介護予防という壮年期・高齢期の両健康を専門分野としており、脳卒中・心臓病・高血圧・脂質異常・糖尿病の予防に加え、フレイル・ロコモティブシンドローム・認知症の予防を研究テーマとしている。2017年に「高齢者の健康余命にフレイルが大きく関与、メタボリックシンドロームの影響は認められず」という研究成果を発表し、公衆衛生学の新たな知見を導いた。

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