若いあなたが将来「不健康」になりかねない危機 超長寿時代、日本人の身体と社会構造が心配だ

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スポーツ庁の青少年のスポーツテストについての調査では、1986年からのデータと比較して、11~19歳の握力スコアが低下傾向にあることが示されています。また、ソフトボール投げや立ち幅跳びなど、「筋力の瞬発力」を測る項目もスコアが低下しています。

2002年までは遅くなっていた50メートル走が再び速くなったり、上体起こしや前屈のように、今の子どものほうがスコアのよかったりする種目もありますが、全体的には筋力の弱い「力のない子」が増えている傾向が見て取れます。

ある研究で最近の若年女性(21歳±2歳)の骨格筋指数を調べた結果、実に9割の若年女性が高齢女性(70歳代)の平均値を下回っていました。つまり、スリムな若い女性は、おばあちゃんよりも筋肉がスカスカだということ。これだと、要介護まっしぐらとなりかねず、「元気な高齢者」としてアクティブな老後は迎えられないかもしれません。

また、男性の場合、50代後半までは体重が増加し、その後は減少傾向になるとされていましたが、最近では70歳以上の男性も肥満が増え続けていることが判明しました。脂肪で太っているため、男性も筋力不足は否めません。

「平熱」が下がってきている

身体変化は、「体温」にも見られます。

1957年に10~50代までの約3000人の体温を測定した調査では、平均体温は36.89℃。2008年のリサーチでは、平均体温は36.1~36.4℃に下がっていました。ほかのデータを見ても、日本人の体温が50年間で下がっているのは、確かです。

体温が下がった要因で真っ先に考えられるのは「筋肉量の低下」です。筋肉は熱を産生します。また、代謝も体温と関係していて、高齢者になると平熱が低くなるのは、筋肉と代謝が共に低下するためです。

運動量の低下などによって筋力と代謝が下がると、若いうちから低体温になってしまい、不健康な老人予備群が誕生してしまいます。

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