訪問しない営業で成果を出す顧客獲得の新手法 新規開拓のためのオンラインセミナーのやり方

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このようにして戦略を立案し、案内文を作りますが、いきなり大々的にオンライン・セミナーを開催するのはお勧めしません。この段階ではあくまで「仮説」でしかなく、本当にターゲットに刺さるセミナーになっているかどうかがわからないからです。

案内を出してもターゲットには響かないかもしれません。想定外の層が数多く参加してくるかもしれません。狙いどおりの層がきても、内容が的外れだったり完成度が低かったりすれば、商談にはつながらないどころか、悪評を広げかねません。

最初は試作であることを許容したうえで真摯にフィードバックをくれるような、関係の出来上がっている既存顧客などに「試行版」として実施。参加者の発言を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりするファシリテーションや資料の完成度を上げてから一般公開するほうが確実に成果が上がるでしょう。

上司との意識合わせも忘れない

これまで述べてきたように、大事なのはビジネスの目的を達成できるかどうかであり、目的に即したターゲットでなければ、何人参加者がいても効果がありません。

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しかし、当事者はそれを理解していても、上司が「とにかく人がたくさん来るセミナーにすべき」と考えていることが往々にしてあります。そういう考えの人からすると、小さく試行する始め方や、ターゲットに絞った企画は地味で効果が出ないように思えます。

最初にきちんとシナリオを説明することも重要ですが、結果が何より説得力を持ちます。成約という最終ゴールに向けたKPIを定め、きちんと成果が出ていることを見せられるようにしておきましょう。パフォーマンスを事実に基づき適時共有していくと、その辺の誤解も徐々に解けていくと思います。

順を追って考えていくと、初めてのオンライン・セミナーといっても、ある程度ビジネス経験のある人にとっては、なんら特別なものではありません。気軽にチャレンジして損はないと思います。

高橋 龍征 conecuri 代表、ライター

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たかはし たつゆき / Takahashi Tatsuyuki

早稲田大学第一文学部哲学科卒業、CSK(現SCSK)で営業、経営企画に従事後、早稲田大学大学院にてMBA取得。ソニーやサムスン電子での事業開発マネジャー、テック企業COOを経て独立。

早稲田大学の社会人教育事業WASEDA NEO開校に伴いプログラム・プロデューサーとなり、年間200セミナーを企画。14年間複数のコミュニティ運営に携わる実践家でもある。

2020年、事業開発の知見をベースに企業や学校の学びの場づくりとコミュニティ構築を支援するconecuri合同会社を設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務める。著書に『オンライン・セミナーのうまいやりかた』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

Twitter:@Ryu_8cchobori

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