急に「エコグッズ」に開眼する若者の隠れた本音 ついに日本でも本格的な環境意識が生まれた?

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以上の事例を見ると、多くの若者はエコを本気で追求しているというより、さりげなく自分のエコ意識をアピールできる、お洒落なアイテムを求めている。このような需要に応えているために、ここまでにあげたアイテムが人気化しているといっても過言でなさそうだ。

今の若者たちにとっては、エコ意識をアピールすることが個性となり、自分のイメージをよくする一種のステータスともなっている。しかし、この「エセエゴ」をきっかけに、次第に若者たちは今後しっかりとエコを意識するようになっていくかもしれない。

原田の総評:そこから見えてきた「可能性」

学生たちの「今時の若者たちの環境意識」についてのレポートはいかがでしたでしょうか。

もちろん、若者と言っても様々なタイプがおり、環境への関心が高まる時代、そして、環境教育が増える中で育ってきた今時の若者の中には、純粋に環境意識を高めている人たちも少なからずいると思います。特に欧米からの帰国子女を中心に、こうした意識が広められる傾向もあるようです。

私は数年前、スウェーデンとデンマークにて、たくさんの現地の若者たちに家庭訪問調査を行なったことがあります。調査中、まだあまりお金のない学生たちから、「値段が上がっても環境に良い商品だったら買う」と多くの若者たちが言っていたのに驚いたことがありますが、一般的な日本の若者の多くは、こうした意識にまでは至ってないように思います。

かわりに多くの日本の若者の間に生まれた環境意識が、「ファッション環境意識」で、インスタ映えを中心に、環境問題をファッションとして捉えるムーブメントのようです。

本物の環境意識を若者たちに身につけてもらう教育は、国をあげて、時間をかけてやって頂くとして、賛否はあるにせよ、結果的に環境に良いことをしているのであればよい、と捉えることもできるかもしれません。

こうして考えていくと、今後、今時の若者が離れていると言われる「政治」なども「ファッション政治意識」として、若いからあまり関心が持ちようもない「健康」も「ファッション健康意識」として、若者たちの間で盛り上がり、市場が拡大されていく可能性はあるかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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