音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル、頼みの携帯配信も頭打ち、「神風」を待つ音楽業界【下】
イノベーション好きな国民性もあり、配信が急速に普及する一方で、ウォルマートなど量販店が新譜を大量に安値で仕入れ、客寄せの目玉にする。
レコード専門店が太刀打ちできるはずもなく、HMVなど英国勢は撤退、老舗タワーレコードは破産法を申請するなど専門店チェーンは姿を消した。量販店に旧譜はないので、欲しい人はアマゾンで買う。
専門店チェーンが消えて表面化したのが、新人育成の問題だ。洋の東西を問わず、店頭はイベントなどを通して「新人を育てる場所」(ソニー・ミュージックディストリビューションの古澤社長)だった。
製販連携が途絶えた結果、98年のブリトニー・スピアーズ以来、めぼしい新人が現れず業界の活力は低下したという見方もある。
米国と同じ轍を踏まないために、さまざまな模索は始まっている。
その一つが、買ってくれる人に売る、という現実路線。昨春、ユニバーサルは40歳以上をターゲットに、「大人の音楽」キャンペーンを始めた。ひとまず好スタートを切り、今冬は同業13社の共同企画に昇格した。またソニー・ミュージックは、落語で共同企画を計画している。