音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル、頼みの携帯配信も頭打ち、「神風」を待つ音楽業界【下】
(=上より続く)
エイベックスはCD依存から脱却すべく、ライブや映像事業に活路を求める。ぴあ総研の笹井裕子取締役によれば、ライブ市場全体は微増傾向が続き、09年も過去最高を更新したもよう。が、「施設制約があり今後も漸増基調。CDに代わるのは難しい」と分析する。会場で売る高粗利のアーティスト関連商品も販売量に限界がある。
映像事業では、出資した映画『レッドクリフ』がヒットしたものの、米国での配給権が売れないことなどから前期に特損10億円を計上。携帯放送「Bee」も利益貢献には時間がかかる。
ユニバーサルはレコード会社から「音楽サービス企業」への変革を目指す。地方にスカウトを常駐させて新人を発掘、商品化権などアーティスト回りの権利を押さえ、マネジメント事業を強化する方針だ。また、携帯電話に音源を提供するようなBtoBも進める。
ただ、これらは緒に就いたばかりだ。
一方、以前からアニメを手掛け、「総合エンターテインメント企業」を標榜するソニー・ミュージックエンタテインメントは、「他事業の比率が上がるが、核は音楽」(古澤清・ソニー・ミュージックディストリビューション社長)というスタンスを貫いている。
上位3社の方向性はそれぞれ違うものの、CD不振による悪影響から当面逃れられないのは同じ。レコード専門店が急激な縮小過程に入っている今、対応は待ったなしだ。
ボロボロの米国市場 「米国の轍を踏むな」
今、業界関係者が他山の石と注視しているのが米国市場の動向だ。