35歳超の非正規男性が悲惨なほど困窮する現実

正社員と違い年齢を重ねても賃金が上がらない

非正規労働者の急増を統計で確認しておこう。下記の図(2-3)は、ここ20年弱の間に、形態別に非正規の人がどのように増加してきたかを示したものである。

(外部配信先では図やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

(出所)『中年格差』(青土社)

まず全体で見ると、1984(昭和59)年が604万人だったところ、2017(平成29)年には2036万人に達しており、実に1400万人ほどの急増加である。労働人口に占める比率も、15.3%から37.3%へと22%ポイントの増加であるし、現代ではほぼ40%弱の人が日本では非正規で働いているという異常さにいる。

異常さというのは少し誇張を含んでいる。非正規の人でも意図的にそれを望んでいる人(特に既婚女性のパート、学生のアルバイト)がかなりいるからである。とはいえ、たとえ意図的に非正規労働を選択しているとしても、賃金などの労働条件が悪いという事実は厳然と存在している。

ところで非正規労働者のうち、もっとも多いのはパート労働であり、およそ半数を占めている。これは既婚女性と高齢者に多い。次いで20.5%のアルバイトであり、これは若者や学生に多い。この両者、すなわちパート労働とアルバイトの増加が、非正規労働の急増を説明する重要な要因である。

中年期の人に非正規労働者はどれだけいるか

本記事のポイントとなるのが、年齢別に見た場合に、中年期の人に非正規労働者がどれだけいるかだ。下の図(2-4)で総計と年齢別の動向を示した。

(出所)『中年格差』(青土社)

2017(平成29)年でもっとも非正規労働者の多いのは、421万人(20.7%)の55~64歳である。次いで413万人(20.3%)の45~54歳である。これら後期中年期の人(45~64歳)に非正規労働が多いのである。これに前期中年期(35~44歳)を加味すると、中年層に多くの非正規労働者のいることがわかり、まさに不況の影響を直接に受けた世代の代表とみなしてよい。

それを証明するもう1つの手段は、各年齢別に増加率を見ることにある。1992(平成4)年から2017(平成29)年まで、15年間ほどの増加率を計算してみた。15~24歳で1.53倍、25~34で2.17倍、35~44歳で1.48倍、45~54歳で1.97倍、55~64歳で2.64倍、65歳以上で5.54倍となる。

もっとも高い増加率の見られる年代は高齢者である。定年などによる退職後も週に2~3日とか、1日に4~5時間とか働くのは健康に良いし、高齢者の持っている技能を若い年齢の人に教える機会もあるので、この増加は悪いことではなくとても好ましい。

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