35歳超の非正規男性が悲惨なほど困窮する現実 正社員と違い年齢を重ねても賃金が上がらない

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次いで高い増加率は45~64歳の中年層の2.64倍と1.97倍であり、長い深刻な不況が中年層に及ぼした影響力の大きいことを物語っている。このうちのかなりの割合は、若い頃や中年期にバブル後の不況によって職探しに苦労して、失業の状態からやっとのことで非正規の仕事が得られたか、それともずっと以前から非正規労働を続けているか、のどちらかである。いずれにせよ、中年期の人が非正規で働いており、経済的に苦労している姿が明らかである。

では、どれほどの経済的な苦痛の下にいるかを確認しておこう。下の図(2-5)は雇用形態別、男女別に正規労働者と非正規労働者の間でどの程度の賃金差があるかを示した。

(出所)『中年格差』(青土社)

これは年齢別に見ていない平均像の姿である。男性の非正規労働の賃金は正規労働者の約6割強、女性の場合には約7割の賃金しか受領していない。男性のほうに格差の大きいのは、男性の正規労働者の中には管理職に就いている人が女性に比較してかなり多く、平均して男性の正規労働者の賃金が高くなるからである。一方の女性では管理職が少ないので、正規労働であっても賃金は低く、したがって格差は小さくなるのである。

正社員は年齢とともに賃金上昇を続けるのに

もう1つこの図から読み取れることは、男性と女性を比較すれば、正規と非正規ともに女性のほうが男性よりも水準としての賃金が低いということである。これは女性差別もあるが、一般に教育水準と就いている職業、そして管理職の地位などで女性が男性よりも低い点の効果もある。

むしろ衝撃的な事実は、年齢別に見た結果に出現する。下の図(2-6)は、一般労働者(正社員と非正社員の両方がいる)と短時間労働者(正社員と非正社員の両方がいる)の間で、1時間あたり賃金額が、年齢でどう異なるかを示した。

(出所)『中年格差』(青土社)

ここでは正社員と正社員以外の格差と一般労働者と短時間労働者に注目してみよう。この図でわかることは、若年層(~19歳から29歳頃まで)は正社員と非正社員の間で時給はそう変わらないが、30歳を超える頃から賃金が開き始め、そして30歳から35歳を超えると、まず正社員の人の賃金は急カーブで上昇するが、正社員であっても短時間労働の人はなんと賃金は低下に転じるということだ。

そして、もっと強調すべきことは、正社員であれ非正社員であれ、短時間労働の人の賃金は年齢を重ねても変化しない点である。正社員の一般労働者だけが年功序列の恩恵を受けて、賃金は上昇を続けるのである。この結果が50~54歳になると、それらの人はかなり高い賃金を得ており、他の労働者との格差は非常に大きくなっているのである。

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