「82年生まれ、キム・ジヨン」で考える女性の地位 韓国で社会現象になった同名人気小説が映画化
世界が広いと信じていた子供時代。女性としての生きづらさを初めて知った少女時代。必死に勉強して入った大学から就職への壁。仕事ぶりは認められても昇進には結びつかない日々。結婚・出産で会社を辞め、社会から切り離されていくような気持ちを抱える日々。そして再就職への困難な道。ついに彼女の心が壊れてしまう――。
多くの女性が「これはわたしたちの物語!」と共感
韓国のジェンダー意識に関わる現代史や社会問題を織り交ぜながら、女性が社会で感じている重圧や生きづらさ、不平等感などを丁寧に描き出したチョ・ナムジュのフェミニスト小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が映画化され、日本では10月9日より劇場公開される。
2016年に韓国で発売された原作は、韓国で130万部を突破したベストセラー小説。多くの女性が「これはわたしたちの物語!」と共感の声をあげる一方で、この本の存在を快く思わない一部の男性層の反発が高まるなど、賛否両論の渦を巻き起こした。
5人組ガールズグループ Red Velvetのアイリーンがこの本を「読んだ」と発言しただけで一部の男性ファンから失望の声が飛び出し、彼女の写真を燃やす、破るといった過激な行動に走る者まで出てくる始末だった。
そうした社会現象は日本にも伝わる。世界的に#MeToo運動の流れが広がる中、2018年12月に日本で翻訳本が発売されるや、発売2日目にして重版が決定。大型書店では品切れが続出し、2020年5月現在で16万9000部を売り上げている。
ある種の“事件”となった作品だが、そうした仰々しいイメージとは裏腹に、実際の物語の語り口はむしろ淡々とした日常を描き出したもの。
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