その1カ月後に犯人は起訴され、公判を待つ状況となる。忠さんも参加している「宙の会」(殺人事件被害者遺族の会)の総会では、裁判を経験した参加者から「これからが大変ですけど、頑張ってください」と励まされた。
以降もブログは毎日更新を続け、事件や家族に直接関係しないこともこれまでどおりのトーンで綴っている。ただし、ブログの説明文からは「未だに犯人が解りません。手がかりを求めています」という文言を外し、トップ記事も犯人の似顔絵や犯行時の情報をまとめたものから、聡美さんの顔写真と人柄を紹介する記事に変えた。そこにはブログを続ける新たな目的が込められている。ここでブログの意義が変わったのは確かだ。
未解決事件が「解決」した先の意志
かつて忠さんは、事件が解決した後のことについてこう綴っている。
でも未解決なので事件の風化は困るし、情報が無いのはもっと困ります。
そんな矛盾した気持ちで活動をしています。
同様の意志は2013年にインタビューした際も直接聞いている。「事件が解決すれば、忘れていただきたいです。いつまでも被害者家族というような眼で見られるのはつらいことですから」と。
未解決事件は「解決」はした。2020年3月に公判が開かれ、犯人の身勝手な犯行だったことも詳らかになった。
当時の雑誌記事の情報も参考に総合すると、犯行当日の朝、勤め先で寝坊したことから自暴自棄になり、悪事を働くために辺りを物色。そこに偶然、期末テストのために早めに自宅に戻った聡美さんが目に入り、ターゲットにされてしまった。いたずら目的で自宅に侵入し、抵抗されたことでカッとなり命を奪ったという。犯人との面識はまったくなかった。(参考:FRIDAY DIGITAL「広島高2女子殺人・鹿嶋学被告に『無期懲役』死刑願った父の慟哭」/高橋ユキ)
判決は求刑どおりの無期懲役。控訴しなかったため、翌月に刑が確定した。
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