17歳娘を殺された父が15年後もブログを綴る訳 未解決事件が13年後に犯人逮捕、無期懲役確定

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事件発生から時間が経つほど人の記憶は曖昧になっていくし、証拠となる痕跡も消えていく。さらに、当時は重大犯罪でも公訴時効が存在したため、捜査のタイムリミットも意識せざるをえなかった(※2010年4月には凶悪事件に関する時効の廃止法案が成立・施行している)。

犯人の姿が見えないまま1年2年と過ぎていくことに、忠さんも当然焦りを感じていたはずだ。しかし、ブログでは苛立ちなどのマイナスな感情は目立たない。聡美さんの成人式を見計らって勧誘電話をしてきた着物の着付けサービスから無配慮な対応をされたときなどには憤りを表に出したりしたものの、読者や社会などに対して漠然と焦りや苛立ち、怒りをぶつけることはついぞなかった。

今年も今日で終わりますので、とても残念な事ですが年内に事件の解決が困難な感じです。
勝手なお願いとなりますが、来年もご協力して頂きたいと願っています。
どうかよろしくお願いします。
(2010年12月31日「大晦日」より)

今年こそはと思って新年を迎え、年の瀬には来年こそはと心を込めて人々に協力を呼びかける。チラシ配りに講演、取材、被害者家族の会への出席などを通して慎ましく事件解決に取り組み、日々の雑感を綴る。何年も積み重ねていったブログ記事に忠さんのとても抑制の利いた人格がにじみ出ている。

仕事や台風、日常のことなどを自由に書いている。最後の情報提供アドレスだけは基本的に掲載している(画像:ブログ「SA・TO・MI ~娘への想い~」より)

「4日から6日になってほしい」

そんな忠さんでも、感情を抑えきれなかったのが事件の発生した10月5日だ。毎年「4日から6日になってほしい」と思いを吐露し、冷静になれないからと、当日の更新を避けることもあった。一方で、事件発生日は未解決事件を世に知らせる重要なタイミングでもあり、マスメディアで採り上げられることも多く、街頭でのチラシ配りも大々的になる。忘れ去りたい気持ちと思い出してもらいたい気持ちに引き裂かれそうになる。そんなつらさが毎年の文面に残されている。

今日も事件の早期解決を願ってチラシの配布を行います。
今回が最後、今回こそが最後とそんな思いで配布していますので 今日こそが、本当に最後となるように願っています。
(略)
チラシ配布を行うのに、矛盾した考えかも知れませんが 今日は5日、事件が解決するまでは皆さんに忘れて欲しくない日です。
未解決事件で一番恐い事!嫌な事!は、事件の風化ですので。
これからも同じ考えとなりますが、4日から6日に時がすぎ 10月5日という日が無くなれば良い?それくらい嫌な日となっています。
「命」大切にして下さい。
文章を読み返せば、5日を忘れて欲しくないとか無くなれば良いとか 書いてる内容が、バラバラと言うか支離滅裂ですね。
すいません、早朝から何とも言えない、うまく表現できない気持ちとなっていますので。
(2013年10月5日、「チラシ配布への思い」より)
次ページ10月全体も毎月5日もつらい日になってしまった
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