「他人から受ける批判」に疲弊していませんか 「外食の誘い」を断り続けるのがストレスに

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ケース1 「そろそろいいんじゃない?」誘いを断るたびに自己嫌悪

同じ小学生の子どもを持つ学生時代からの友人。学生の頃からお互いの家を行き来したり、一緒に出掛けたりという付き合いをしてきた。

コロナの影響を受けてから、直接会うことはなくなっていたが、緊急事態宣言解除後あたりから、食事などの誘いが来るようになった。

最初のうちは「まだ控えたい」ということで収まっていたが、最近「いつになったら終わるかわからないのに、ずっと家にいるつもり?」「○○ちゃん(子ども)もかわいそうね……」と言われ、自分が気にしすぎているのかと自己嫌悪になる。

ケース2 上司からの誘いを断りづらい

この半年、飲み会もほとんどなくなってはいたが、そろそろ……といった誘いも増えつつある。もとより上司と2人きりは避けたいが、今までのように「みんなが参加するなら」と言いにくくなり、少人数なら安心だからと言われると、逆に断りづらくなっている。「最近は話す機会も減ったし、今後のことも含めて話をしたい」「テレワークになってしまっているので、たまには直接会わないと」と言われてしまうと非常に困る。

ケース3 在宅ワークに後ろめたさ

在宅か出社かを選べる環境にいる。在宅ワークを選択しているが、最近、出社組からの圧を感じる。言葉の端々に嫌みを含んでいることも増えてきた。業務連絡のちょっとした行き違いがあった日に「出てこないから情報共有ができないんだ」とあたかも来ないやつが悪いという言い方をされ、この先が不安になった。

柔軟性を高め、意見の違いを認め合う

コロナ前も、もちろん個々人の価値観はさまざまだったと思いますが、それが顕著に感じられるようになったことも確かです。今までは、付き合いやすいと思っていた相手でも、感覚や価値観が違ったと多くの人が実感しています。だからこそ、自分がどう考えてどうしたいのかを伝え、相手がどう思っているのかを認識することが、これまでよりもっと重要になってきます。是非を求めずに感覚を大切にしてほしいと思います。

そして、相手と自分の意見が違うからといって、否定するのはNGです。「私はこうしたいけれど、どう?」と、あくまでもお互いの意見を認め合うスタンスを意識しましょう。とくに同じ職場で長年やり取りのあった人や親しい間柄ほど、「感覚が同じ」と思い込みがちです。考え方の違いがあって当然、ということを忘れないように心掛けられたらと思います。仕事だとなかなか難しい部分もありますが、自分軸をしっかりと持って、相手に振り回されないようにすることが大切です。

また、高齢の両親や妊婦の妻がいるというだけでテレワークを許可されるのは納得いかない、独身の自分だって混雑した電車に乗って出勤するのは怖いといった声や、正社員は在宅OKだが、派遣はNGなどと暗黙の了解があるなどの不平等さや不公平さを訴えるケースも増えてきています。

子どもがいるからOKなどのルール作りをしてしまうと、どうしても不平等感が生まれてしまいます。職場やコミュニティにおいて、平等感はとても大切で、誰かが自分よりも優遇されている、ひいきされているといった日々の感情は、不満感を持ってしまうだけでなく、対象者への攻撃やモチベーションの低下につながります。より一層、個々への対応が必須です。

直接会わないからコミュニケーションが取れないわけではなく、見えているから安心なのでもなく、今まで見ないようにしていた部分を今一度問い直す時期に来ているのではないでしょうか。「○○すべき」という固定観念に固執せずに柔軟性を高めていくことで、自分自身にも、そして他者に対しても優しくなれるのでは、と思います。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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