スピーキングテストはまだ赤ちゃん
安河内:今、日本でTOEICスピーキングテストの受験者は年間で約1万人です。TOEICスピーキングテストを社内で使ってみようと検討している企業も多いです。また、今年からはIPテストの運営が劇的に安く、簡単になります。うまくいけば、今年は受験者が激増するかもしれません。
ソレイシィ:スピーキングテストの将来像について、私の意見を話してもいいですか? 実は私は、自分でスピーキングテストを作りました。「SPM Interview Test」(R)と呼んでいるもので、今は企業での英語研修などに限定して使っていただいているのですが、将来のスピーキングテストのスタンダードになりうると考えています。
「SPM Interview Test」について説明する前に、英語能力を測るテスト全般の生い立ちについて考えてみましょう。スピーキングテストはまだよちよち歩きの赤ちゃんだと私は思っています。
個人の知能をペーパーテストによって間接的に測定するpsychometric(心理測定法)と呼ばれる分野がありますが、ここでは、英語能力をペーパーテストによって「間接的に」測定しているわけです。
間接的に知能を測るテストが始まったのは1900年頃で、おそらく軍隊が作り出したのではないかと思います。アルファテストと呼ばれるペーパーテストの登場で、ペーパーテストが一気に広まったのです。
それ以前は長いこと、たとえばエリート大学に入りたければ、面接を受けなければなりませんでした。そしてひどい差別が起きました。女性が入学できなかったり、ユダヤ系の人たちが入学できなかったりしたのです。容姿で一目瞭然だからですよね。ペーパーテストのおかげで、こうした差別は克服されたのです。ペーパーテストは、日本を含め世界中に広がっていきました。
軍は、アルファテスト(ペーパーテスト)とは別に、ベータテストという面接試験も用意しました。しかしこれは、文字が読めない人たちのためのテストで、IQがどれぐらいあるか、何かおかしなところがないかを確かめるためのものでした。
世界中に普及したペーパーテストですが、これは数万人という大人数がひとつの大学を受験するような場合には、非常に効率的で都合がいいのです。 それにいっさい差別なく試験を受けることができますから、エリートといわれる大学への入学に、誰もがチャレンジできる時代が来たのもペーパーテストのおかげと言えますよね。
ペーパーテストはだんだんと改良されて、100年以上かかって、今の完成度にまで到達しました。非常に公平で効率のよいものだと思います。中でも日本の大学のペーパーテストの扱いは特筆ものですよね。誰がどこでどう回収するかまできっちり計画されていて、管理システムがしっかりしています。絶対に情報が外部に漏れないようになっている。そういった面も含め、日本のペーパーテストは世界一かもしれないです。
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