寿命が「運命任せ」から「選択」の時代に変わる訳 「老いなき世界」はどこまで科学されているのか

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最先端科学によって変わる「寿命」のカタチとは?(写真:Ravil Sayfullin/PIXTA)
世界20カ国で刊行され、全米ベストセラーの『LIFESPAN(ライフスパン):老いなき世界』日本語版が、9月16日、いよいよ刊行される。
ハーバード大学遺伝学教授をつとめ、老化研究の世界的権威でもあるデビッド・A・シンクレアが、人類が「老いない身体」を手に入れる未来がすぐそこに迫っていることを示した衝撃の書だ。
日本における老化研究はどこまで進んでいるのか。シンクレア研究室で老化研究に取り組み、現在は慶應大学医学部で老化生物学研究チームを率いる早野元詞氏が語る。

何歳まで生きるかを「選択する」社会へ

ご存じのように日本はすでに超高齢社会です。医療費も高くなり、どれだけ健康に生きられるかが注目されています。その中で『ライフスパン』著者のシンクレア教授が目指しているのは、「200歳まで生きる」ということや、若返りなどですね。

『LIFESPAN ライフスパン:老いなき世界』特設サイトはこちら(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

カロリー制限やアミノ酸制限などに取り組んだとしても、人間の寿命の限界は122歳だと言われています。それを超えるには、細胞のリプログラミングや、遺伝子編集などの創薬に頼るということになりますが、そこを突破することで200歳を目指せると考えられています。

このとき、社会的には「200歳まで生きたいか」という選択が生まれます。200歳まで生きたい人、短く元気に50歳まで生きたい人、病気を患ってもかまわないから自然でいたい人、いろいろな考えの方がいらっしゃいますからね。

お金も重要になってきます。シンクレア教授もそうですが、アメリカではスタートアップ企業が関わって老化研究を行い、サプリなどを販売しています。

お金を払って200歳生きる選択をするか、もしくは、カロリー制限やアミノ酸制限など、自分でできる選択をするか。いずれにせよ、自分で人生を選択するということが必要になります。

エイジングについては、すでに1930年にカロリー制限が効果を発揮し、マウスでは寿命が延長できたという論文が発表されています。

しかし、それから90年経ちますが、みなさんそれほどカロリー制限をしていませんよね。

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