いよいよ「アメリカ経済」がヤバくなってきた 絶える支援策、その悪影響が少しずつ明らかに
アメリカ経済の回復が気がかりな小休止状態を呈している。新型コロナウイルスの感染が全国で再び増加。雇用、消費、投資の主要指標は足踏み、もしくは後退し、新たな経済対策をめぐる議会とトランプ政権の協議にも進展の兆しが見られない。
個人消費、企業の景況感、中小企業の再開計画、さらには求人に至るまで、リアルタイムの指標は先月から横ばいになっている。6月と7月に新型コロナの感染がアメリカ各地に広がり、経済に打撃が広がったことを示す動きだ。人事管理サービスを手がけるホームベースの中小企業データによると、主要経済分野における雇用や労働時間は今夏の半ば以来、改善が見られない。オンライン求人サイト、インディードの掲載求人数は8月中旬に5月以降で初の減少となった。
感染拡大にカンフル剤切れ
そして今度は、失業保険に対する週600ドル(約6万4000円)の上乗せを含む重要支援策が消え去ろうとしている。新たな経済対策をめぐる議会協議は9月まで進む情勢にはなく、11月の大統領選挙まで与野党で妥協が成立しない可能性にアナリストが言及する場面も増えている。その頃までには、気温の低下から屋内で過ごす人が増え、感染の新たな波が発生すると公衆衛生当局は懸念する。
盛り上がる感染と弱まる政策支援という二重のリスクが、ようやくスタートしたばかりの景気回復の前に立ちはだかっているということだ。アメリカではパンデミックで失われた雇用のおよそ60%がまだ戻っていない。ニューヨーク・タイムズがオンライン調査会社サーベイモンキーを通じて行った世論調査では、現在失業状態にある人の半数以上が、以前の仕事に戻れるとはまったく考えていないと答えた。
新たな経済対策がなければ「景気後退に逆戻りしかねない」と語るのは、ハーバード大学ケネディスクール(公共政策大学院)のメーガン・グリーン上席研究員だ。「私たちは橋を半分だけつくって、完成させようとしなかった」。