いよいよ「アメリカ経済」がヤバくなってきた 絶える支援策、その悪影響が少しずつ明らかに

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これは経済回復にとって悪い知らせだ。アメリカ経済の回復スピードと力強さは、つい最近まで多くの人々を驚かせてきた。失業率はほぼ誰も予測できなかったほど早く、急速に低下していたし、小売売上高も7月まで力強く持ち直していた。

確かに現時点では、公表までにタイムラグのある大半の政府統計に回復の後退を示すデータが現れているわけではない。ただ、リアルタイムのデータや政府発表のものでもタイムラグの短い統計となると、話は違ってくる。

8月20日に発表された15日までの週の新規失業保険申請件数は、予想に反して増加した。大学所属の経済学者グループが運営するプロジェクト、オポチュニティー・インサイツが収集したデータは、失業給付の上乗せがなくなったことを受けて消費者がすでに消費を減らし始めている可能性があることを示している。低所得者層は今夏の半ばまでパンデミック前とほぼ同水準の消費を続けていたが、8月第1週に支出が落ちた。

最も弱い立場にある人たちに深刻な打撃

景気減速の影響は、そもそも一度も以前の消費水準を回復したことのない、ほかの所得層にも広がりつつある。

ニューヨーク連邦準備銀行の報告によると、ニューヨーク地区のサービス業大手の経済活動は7月にいったん改善をみせたものの、8月に入ると悲観色が強まった。ミシガン大学が公表している消費者信頼感指数は低い水準にまで低下しており、不透明な状態が続いていることを示している。

景気回復が止まったり、景気の後退が再び進んだりすれば、最も弱い立場にある人々が最も深刻な打撃を被る可能性がある。ニューヨーク連銀のある分析によると、子どものいる家庭はこれまでにもすでに、食べ物が確保できなくなったりするなど経済的な苦境に陥る可能性がかなり高かった。

低所得層やマイノリティの労働者も、失業や労働時間短縮の影響を被りやすい。低所得層やマイノリティの仕事はホテルやカジノといったサービス部門に極端に集中しているが、これらサービス部門はパンデミックが収束するまで回復は難しい。

(執筆:Jeanna Smialek記者、Jim Tankersley記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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