いよいよ「アメリカ経済」がヤバくなってきた 絶える支援策、その悪影響が少しずつ明らかに

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議会は当初、パンデミック対策として巨額の財政支出を行ったが、この救済策は短期的な問題に対処するためのものだった。1回限りの現金給付と失業保険の上乗せによって家計は支えられたが、失業保険に週600ドルを上乗せする特別措置は7月下旬に途切れた。倒産防止のため中小企業に融資が行き届くようにしていたプログラムは、8月上旬に終了した。

すでに明らかとなっているように、このパンデミックは長期戦だ。

トランプ大統領は一部の救済プログラムを一時的に延長できる行政命令と覚書に署名したが、単独でこれらを完全復活させられるわけではない。例えば、寛大な失業保険を継続するという同氏のプランは週600ドルに代えて300ドル(約3万2000円)か400ドル(約4万2000円)を上乗せ支給するもので、以前の給付を部分的に置き換えるにすぎない。

8月の可処分所得は約7兆円減少も

こうした給付の実行で承認を受けたのは、これまでに12州しかなく、しかも資金が実際に行き届くまでには時間がかかる。さらに資金が行き届くようになったとしても、このプログラムの裏付けとなる財源は、利用者数にもよるが、すぐに枯渇する可能性がある。

「8月に緊急失業給付がなかったことで、家計と経済全体の双方に甚大な影響が出るとみている」と、足元の経済回復に対する経済対策効果を追跡している投資銀行エバコアのエコノミスト、アーニー・テデスキ氏は語る。

ゴールドマン・サックスの分析によると、600ドルの上乗せが停止されたことで8月の可処分所得は、1カ月丸ごと給付が行われた場合と比べて全体として約700億ドル(約7兆4000億円)減少する可能性がある。

給付が急減すれば、経済の70%を占める個人消費はまず間違いなく悪化する。テデスキ氏は、8月の消費は実に580億ドル(約6兆1500億円)も落ち込む恐れがあると試算する。

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