コロナ会議「議事録不開示」の筋が何とも悪い訳 政府は10年前の「約束」を平気で破っている 

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西村氏が挙げた2つ目の理由である「非開示を前提とした発言なので開示は困るとメンバーから反対意見があった」は、会議の当初から「開示」と伝えていなかったことに起因する。

3つ目の発言内容の食い違いについても、未知のウイルスゆえ、時間とともに判明する知見は変わるから、発言内容が変わることは、むしろ自然なこと。いずれも非開示の理由にはなりえない。

何より、10年前の「約束」がまったく生かされていない。

透明性確保」を報告書に盛り込む

新型インフルエンザ対策を検証し、今後の課題を探るために設置された厚生労働省の「新型インフルエンザ対策総括会議」が開かれたのは、新型インフルが出現した翌年の2010年だ。現在の分科会の座長を務める尾身茂・地域医療機能推進機構理事長や、同分科会委員で川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長も委員として加わっている。

この年の3月から4カ月という短期間において7回にわたる議論を厚労省がまとめた報告書原案にはなかった言葉が、最終報告書に盛り込まれた。広報・リスクコミュニケーションの運用上の課題として挙げられた次のフレーズだ。

「国民に的確な情報提供を行うため、現場の医療関係者、専門家などからの意見聴取に当たっては、議事録を作成するなど議論の透明性を確保するとともに、情報の混乱を避けるため、正確な意見集約や広報に努めるべきである」

これは総括会議のメンバーの意見によって付け加えられたのだが、議事録を作成したうえで透明性を確保すると言えば、議事録の公開を指すことは自明だ。さらに「ワクチン」の接種を決めるプロセスについても、報告書にこう明記している。

「ワクチンの接種回数や費用(ワクチン価格を含む)及び輸入ワクチンの確保等については、決定までのプロセスを明確にし、できる限り開かれた議論を、根拠を示しながら行うとともに、その議事録等をできる限り速やかに公表すべきである」

ワクチンの接種方法などを議論して助言するのも専門家の責務だ。「議事録を速やかに公表すべき」とあれば、今回で言えば、現在ワクチンについて議論している分科会を指している。

次ページ背景にあった専門家と政治の役割分担の明確化
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