ドラッグストアの黒子「日用品卸」の業績に明暗 コロナ影響で売れゆき激減の化粧品で差
東京郊外のあるドラッグストア。洗剤やボディソープを扱う1階の売り場はレジ前に客が列をなしていたのに対し、2階の化粧品売り場は客の姿もまばら。店員も所在なさげに店内を眺めていた。
新型コロナウイルスの感染拡大を機に自宅で過ごす時間が増えるに伴い、消費者ニーズは急激に変化した。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの売り上げデータを集計した市場調査会社・インテージによると、3月以降で最も売れた商品カテゴリーは雑貨だった。
具体的には、マスクや体温計、石鹸や住居用洗剤、芳香剤・消臭剤などがよく売れた。逆に売れ行きがよくなかったのは化粧品。とくに打撃を受けたのは口紅だった。4月以降の販売額は、前年同期比でほぼ7割減の水準が続いている。
日用品や紙製品の需要伸び増益に
この消費動向の変化は、ドラッグストア店舗の商品供給を支える日用品卸会社の明暗も分けている。
日用品卸大手のあらたは、2020年4~6月期の売上高が前年同期比8.5%増の2119億円、営業利益は同40.1%増の34億円となった。あらたは洗剤など日用品の販売に強く、家庭用紙製品のペーパークリーナーなど、足元の売り上げが堅調な商品を数多く取り扱っている。
「日用品や紙製品などの需要急増で4~6月期は販売量が伸び、増収増益となった。現状ではインバウンド需要減のマイナス影響もそこまで大きくない」と、あらたのIR担当者は話す。
あらたは2021年3月期について、売上高は1.7%増の8100億円、営業利益は9.4%増の102億円と、6期連続の増収増益を見込んでいる。
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