地方で増殖、「生鮮ドラッグストア」の破壊力 格安を武器に食品スーパーやコンビニへ挑戦
地方の小売業で、地殻変動が起きている。ドラッグストアが異業種の食品スーパーやコンビニの領域を侵し、日常消費の中心になろうとしているのだ。
かつて繊維産業で盛えた福井県永平寺町──。古民家が並ぶ永平寺口の駅を降り、幹線道路へ5分ほど歩くと、約300坪の大型店舗が見えてくる。中堅ドラッグストア・ゲンキー東古市店の食品売り場には、冷凍食品、弁当などのほか、青果、鮮魚、精肉の生鮮品がずらりと並ぶ。
店内には250点の生鮮品が並ぶ
外観は郊外型ドラッグだが、生鮮品売り場を見ると、さながら食品スーパーだ。10~15坪の売り場に、弁当・総菜も含めて、250点の生鮮品を展開。あくまで補完商品という位置づけだが、その価格は周囲のスーパーに、「競争環境は確実に厳しくなっている」と言わせるほどだ。
100グラム=198円より高い牛肉は扱わないなど低価格を徹底。すべての生鮮品で周辺スーパーの特売商品と価格を合わせ、定番品は2割ほど安い価格で販売している。
近くに住む40代の女性は、「野菜が手に入るようになり、遠くのスーパーまで行かなくなった」と話す。ゲンキーは6月から生鮮品の導入を目的とした改装を順次実施。改装店舗の売り上げは3割増になったという。
「すべては来店頻度を上げるため。日用品と食品を同時に安く買えれば、時間もおカネも節約できる」(生鮮マーチャンダイジング部長の平田都芳氏)