地方で増殖、「生鮮ドラッグストア」の破壊力 格安を武器に食品スーパーやコンビニへ挑戦

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その対策として来年までに既存店の改装を終えて、全店に生鮮品を導入する。売上高に占める食品構成比率は2017年6月期の56%から、65%程度まで高まる見込みだ。

こうした動きは都市部でも広がる。首都圏を中心に展開するサンドラッグは今2018年3月期に126店の改装を実施、大半の店舗で食品を強化する。コンビニを意識した小型業態の店も都市部やロードサイドに出す。

食品拡充で粗利率悪化のリスクも

業界最大手級のツルハHDは、今年9月、静岡県首位の杏林堂薬局を買収した。杏林堂は食品の比率が約45%。300~1200坪の超大型店内で、焼きたてギョーザを売るなどスーパーのような取り組みを行う。ツルハは買収後も杏林堂に経営の裁量を残し、食品販売のノウハウを吸収する狙いだ。

ただ、弁当や生鮮品を扱うには加工センターや低温物流などへの投資が不可欠。これまで化粧品などメーカーに返品可能な商材を扱ってきたドラッグストアは、廃棄ロスのコントロールは不得手だ。食品拡充により粗利率が急激に悪化するリスクもある。

ムダを抑えた生鮮品の発注や在庫管理ができるか。ドラッグストア各社の力量が試される。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年4月から再び『週刊東洋経済』編集部。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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