地方で増殖、「生鮮ドラッグストア」の破壊力 格安を武器に食品スーパーやコンビニへ挑戦

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ドラッグストアの業界規模は6兆4916億円と、2016年に百貨店と並んだ。ドラッグストアの最大の強みは、高い粗利を稼ぐ化粧品と医薬品だ。これを原資に、食品の大胆なディスカウントを行う。

JPモルガン証券の村田大郎シニアアナリストは、「スーパー、コンビニは、両手に武器を持ったドラッグストアを素手で迎え撃つようなもの。そもそも戦う土俵が違う」と話す。

ドラッグストア業界全体では毎年400~500店のペースで増え続け、全国の店舗数は足元で約1.9万を突破。食品スーパーから着実に客を奪い、コンビニと並ぶ小売業の勝ち組となりつつある。

業界内の競争は激化の一途

だが、業界内の出店競争は年々厳しさを増している。中でも、ゲンキーが展開する岐阜、福井、石川、愛知の4県は業界内で「関ヶ原」といわれる全国一の激戦区。石川県地盤のクスリのアオキホールディングス(HD)や愛知県地盤のスギHD、岐阜県発祥でバローHD傘下の中部薬品などが群雄割拠、それぞれの本拠地に進出している。近年は九州の雄・コスモス薬品も中部地方に進攻している。

ドラッグストアの1店当たりの商圏人口は全国平均で約1万人。それに対し、岐阜県や福井県の商圏人口は6000~7000人台と少ない。幹線道路を車で走ると5分に1店は見掛けるほどで、その過密ぶりはコンビニに近い。

ゲンキーは2017年6月期に最高純益を更新するなど業績は一見好調だ。だが、4社の中で売上高は最小。ライバルのクスリのアオキは、生鮮品と調剤を扱う完全ワンストップ型の450坪業態を確立しつつある。

ゲンキーの藤永賢一社長は社内の会議で、「9回裏ツーアウトまで追い込まれている」と危機感をあらわにする。先手を打たなければ、いずれ同業大手に買収されるおそれもある。

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