中国の「アメリカ産原油」輸入量が突如急増の訳

貿易交渉の決裂防ぐ中国政府の思惑が背景か

中国の原油輸入先でアメリカが第5位に急浮上した。写真は石油輸送大手の中遠海運能源運輸の超大型タンカー(同社ウェブサイトより)

8月25日、中国海関総署(税関)が発表した2020年7月の原油輸入量のデータに注目すべき変化が現れた。アメリカからの原油輸入量が6月の約6.2倍の366万5800トンに激増し、過去最高を記録したのだ。これにより、中国の国別の原油輸入先でアメリカは第5位に急浮上した。

年初からの貿易統計を振り返ると、アメリカからの原油輸入量は1~4月はごく少なかった。ところが5月に突如54万9800トンに増加し、その後は月を追うごとに増え続けている。

いったいなぜか。石油業界の関係者の間では、背景には「米中デカップリングの防止」という(中国政府の)意図があるのではないかとささやかれている。今年1月16日、中国とアメリカは両国間の貿易協定の「第1段階」に合意。中国は向こう2年間でアメリカ産のエネルギー関連製品の輸入を524億ドル(約5兆5700億円)分増やすと約束した。

サウジアラビアからの輸入量は4割減

その後の中国とアメリカの外交関係悪化にもかかわらず、貿易交渉の中国側責任者である劉鶴副首相は8月25日、アメリカ側責任者のロバート・ライトハイザー通商代表およびスティーブン・ムニューシン財務長官と電話で協議。貿易協定の第1段階の実行を推進することで双方が合意した。

業界関係者によれば、アメリカからの輸入増加は8月以降も数カ月続く可能性があるという。その余波を受け、中国がサウジアラビア、ロシア、イラクなどから輸入する原油は減少傾向を見せている。

なかでも7月の落ち込みが目立ったのがサウジアラビアだ。海関総署のデータによれば、同月のサウジからの原油輸入量は6月より4割も少ない535万9700トンにとどまり、国別の輸入先でロシア、イラクに次ぐ第3位に後退した。

本記事は「財新」の提供記事です

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟主要産油国で構成する「OPECプラス」は5月1日から大規模な協調減産を開始し、7月以降も継続している。そんななか、サウジの国営石油会社サウジアラムコは7月のアジア向け供給量を絞り、価格を引き上げた。中国の輸入減少はその影響が表れたものと見られている。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は8月26日

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • 憧れから一歩前へ! キャンピングカーのある日常
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
正規と非正規「格差訴訟」<br>判断が分かれた最高裁判決

非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

東洋経済education×ICT