日本人は自らの臆病体質の弱みを認識してない 政府、企業のリスク取らない姿勢が未来を蝕む
日本人や日本企業が、「リスクを取らなくなった」といわれて久しい。
「リスク回避社会」とも「リスクゼロ社会」「リスクオフ社会」ともいわれる臆病な体質が染み付いてしまっているのが、現在の日本の状況といっていい。全体の数では増加傾向だが、本格的な海外留学を志向する若者は年々減少しており、大企業も新しい技術開発に取り組む姿勢が乏しいと指摘される。
新型コロナウイルスは、そうしたリスク回避の姿勢が目立つ日本社会に対して、少なからぬ衝撃を与えている。リスクマネジメントをきちんとしてこなかったという現実もあるが、「リスクを取らないリスク」を改めて認識する必要が出てきている。企業の存続も含めて、リスクを取ることを余儀なくされる社会の到来に備える必要があるのかもしれない。
個人ベースでも、企業に頼りきった会社人間で本当にいいのか、あるいは安全といわれる銀行に全財産を預ける資産防衛では、不透明な時代に生き残れないかもしれない。
リスク回避、リスクゼロ、リスクオフといった社会が、どんな背景で形成されてきたのか。そして、リスクを取らないリスクについて考えてみたい。
リスクを取らない国「日本」の現実
日本が「リスクを取らない」国として有名になったのは、5年に1度ずつ調査が行われている「世界価値観調査」の結果からだ。各国の意識調査に基づいて、さまざまな分野の価値観を国際比較した統計で、世界数10カ国の大学や研究機関の研究グループが参加している。
世界価値観調査が初めて行われたのは、1981年の欧州を中心に実施された「欧州価値観調査(EVS)」からだが、その後、欧州以外の国を加えて世界価値観調査として5年ごとに行われる調査になっている。
日本でも当初から参加しており、現在でも電通が中心となって大学やシンクタンクなどと共同で調査を継続している。この世界価値観調査で、「日本人がリスクを取らない国民性」であることが注目された。
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