日本人は自らの臆病体質の弱みを認識してない 政府、企業のリスク取らない姿勢が未来を蝕む
最近の日本企業は、アメリカはもちろん中国や韓国、台湾にも技術開発という面で後れをとり、主要な家電メーカーやIT企業が外国企業に買収され、資本援助を受けているケースが目立つ。「ガラパゴス」と揶揄され、大きなビジネスを成功させることができない。新幹線や化石燃料を燃やす発電所などのインプラント輸出では、ある程度の成果を上げているものの、これらの多くは既存の、古い技術を継承したものにすぎない。
なぜ、日本企業は世界に通用する技術開発や販売戦略を立てられないのか。その背景にあるのも、冒険を冒さない、リスクを取らない企業体質があると指摘されている。例えばOECD(経済協力開発機構)がまとめた「各国産業部門の海外由来研究開発費の比率」を見ると、日本はOECD中最下位だ。
最新のデータは2017年11月のものだが、日本の場合は2005年時点の段階でも比率に変化はなく、最下位に近かった。それだけ日本国内に研究開発費の資金を供給する先があるという意味でもあるが、海外企業と提携する、あるいは国際機関や海外のファンド等と資本提携して研究開発を行っていない、という意味でもある。
それだけ日本企業が海外との共同研究に消極的であり、まさに井の中の蛙、独特の進化を遂げるガラパゴスを象徴しているといっていいかもしれない。
経営者の目線も狭い
デロイトトーマツが発表した「第4次産業革命における世界の経営者の意識調査(2020年版)」を見てみよう。
●包括的、統合的な戦略がある……10%
●より幅広い全組織的な戦略の策定に着手……23%
●必要に応じた特定分野・目的ごとの戦略がある……47%
●正式な戦略はない……21%
<日本>
●必要に応じた特定分野・目的ごとの戦略がある……86%
●正式な戦略はない……14%
日本は、「包括的総合的な戦略がある」、あるいは「より幅広い全組織的な戦略の策定に着手している」と答えた経営者が大半で、包括的、総合的な戦略の多い世界と比べて差がある、とレポートは報告している。世界のトレンドに乗り遅れている。
ちなみに、想定時価総額が10億ドル(約1060億円)以上の未上場スタートアップ企業である「ユニコーン」と呼ばれる企業の数が、その国の新しいビジネスの可能性を示すものとして注目されているが、日本は2020年2月の段階でまだわずか7社(INITIAL調べ、以下同)しかない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら