日本人は自らの臆病体質の弱みを認識してない 政府、企業のリスク取らない姿勢が未来を蝕む
そもそも、日本企業は463兆円(2018年)という内部留保をため込み、積極的な投資活動や社内ベンチャーの育成を怠ってきた。内部留保=現預金ではないのだが、日本企業の現預金がここ10年以上、増え続けてきたのは事実だ。法人企業統計によると、企業の現預金が増え始めたのはリーマンショックの2008年前後からだ。
2008年度のリーマンショックを機に、日本企業の現預金は加速度的に増していく。2000~2009年度までの企業の現預金の伸びは年率1.2%だったが、2009年度から2016年度には年率4.3%と伸びている。リーマンショックを機に、利益をプールする傾向がより鮮明になったといっていいだろう。
ただ、内部留保の本質は利益剰余金だから、本来なら利益が積み上がる前に利益の一部を技術開発や設備投資に回すべきであって、その部分を怠っているのが日本企業の現状だろう。利益を有効活用できない経営者は無能とみなされる海外とは大違いだ。
その一方で、日本企業の多くは若手社員が提出する企画書に対して、重役はよってたかってケチをつけて潰していく。日本は、メディアの行動様式を見てもわかるように「出る杭は徹底的にたたく」という風潮がある。才能ある若手従業員を潰すことで自己保身を図る役員が多すぎるのかもしれない。
これでは、企業はリスクを取れないし、若手もチャレンジしようという意欲をなくす。
企業がチャレンジ精神を失わずに、リスクを取るシステムをどう構築すればいいのか……。その課題を真剣に議論したほうがよいはずだが、新卒一括採用で採用された役員では無理があるのかもしれない。
具体的にはどうすればいいのか。グローバルには以下のようなことが確立している。
●社外取締役、女性取締役を増やす
●意思決定プロセスを明確にし、スピーディーにする
●企業の社風や伝統にそぐわない分野でも、社内ベンチャーで積極的に展開する
新型コロナの時代のリスクマネジメントはどうする?
日本企業にこれができるか。
加えて日本は行政機関などの政府もリスクをさまざまな形で避けている。今回の新型コロナウルスでも、国民の顔色をうかがいながら感染症対策を小出しにしている印象が強い。
加えて、メディアまでもが時の政権に忖度して萎縮しており、さらには国民1人ひとりがいまの日常を守ろうとリスクを避ける姿勢が目立つ。日本社会全体が萎縮している状況といっていい。
国全体が萎縮してリスクを取らない国家というのは、経済が縮小していくだけではなく、技術革新がおろそかになり、じりじりと疲弊していくのが常である。かつての旧ソ連などに代表されるように、国民が貧困にあえぐ社会になるのは最悪のシナリオといえるだろう。
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