年間出生数10人未満の自治体が96もある衝撃 各地域では若手の人材の確保も急いでいる
そうしたなか、村出身の若者がUターンして農事法人をつくりキノコ栽培やシャワークライミングなどのアクティビティ、農業体験などの事業を行い、SNSで情報発信するといったケースも出てきている。
また、総合計画では「活力とにぎわいのある村づくり」など5つの基本目標を掲げ、農林業、商工業、観光業の振興に向けた諸施策を定めている。新たな高収益特産物の研究・開発、空き家を利用した商業施設の整備やサテライトオフィスの誘致、観光振興に向けた自然体験型交流イベントの実施などだ。出生数増大に向けては、移住情報の積極的な発信や、村内の若者を対象にした婚活イベントの開催、支援などに取り組んでいる。
他の自治体と連携してサミットも開催
ユニークな取り組みもある。北海道音威子府村、福島県檜枝岐村、和歌山県北山村、岡山県新庄村、高知県大川村、熊本県五木村と一緒に「小さな村g7サミット」を毎年開催している。その一環として、ふるさと納税で先進的な取り組みを行っている自治体の例を参考にしたところ、丹波山村への寄付額の増大に成功したという。参加自治体の特産品を首都圏で広めるために今年6月、東京・蒲田にアンテナショップ「小さな村g7ギフトショップ」を設立し、特産品の販売にも乗り出している。
人口減少が深刻な、もう1つの地域が奈良県にある野迫川村だ。「雲海を抜けたその先に広がる天空の國」――。野迫川村のホームページを開くとこんなキャッチコピーが飛び込んでくる。
奈良県の西南端に位置し、高野山を有する和歌山県高野町などに隣接する標高700~900mの山あいの村。わさび生産、アマゴ養殖、シイタケ栽培などが盛んで、旅行サイトにも紹介されている絶景の雲海や温泉を資源とする観光も主要産業だ。
1997年にスロバキア共和国の駐日大使夫人が村の郷土料理に興味をもったことがきっかけで交流が始まり、2003年にスロバキア共和国のビソケ・タトリ市と姉妹都市提携した。
魅力豊かな野迫川村だが、2019年中の人口動態では、全国の町村で人口減少率(日本人)が7.59%と最も高くなっている。出生ゼロに対し死亡11人、転入14人に対し転出33人。トータルで30人の減少だ。今年3月に策定した「野迫川村総合計画2020 のせがわスマイルプラン」では「人口減少に歯止めをかけることを最重要課題としている。
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