年間出生数10人未満の自治体が96もある衝撃 各地域では若手の人材の確保も急いでいる
年間出生数ゼロの2つの自治体はどんな村なのだろうか。そのうちの1つ、丹波山村は、山梨県の北東部にあり東京都奥多摩町に隣接している。JR奥多摩駅から路線バスで50分ほどで村の中心部に着く。標高は約600メートルで、多摩川の源流部にあたる丹波川が流れ、雲取山、大菩薩嶺などに囲まれた大自然の魅力たっぷりの村だ。
戦国時代、武田信玄全盛期には黒川金山の採掘のために、現在の丹波山村に金山奉行が置かれ「黒川千軒」「丹波千軒」と呼ばれにぎわったという。主要産業は観光で、鴨沢は日本百名山・雲取山の登山口としても知られる。全長247m、高低差42mの「ローラーすべり台」や丹波山温泉「のめこい湯」などの観光施設もある。
丹波山村の8月1日時点の人口は547人で、ピーク時1955年(2302人)の4分の1の水準に落ち込んでいる。1月1日時点のデータ(人口539人)を見ると、65歳以上の老年人口が246人で45.6%を占め、15歳未満の子ども人口はわずか34人(6.3%)しかいない。老年人口は全国平均28.41%を大きく上回り、子ども人口は全国平均12.30%の約半分という低水準だ。
住民たちは住みやすい村だと思っている
村の人たちはどんな思いで暮らしているのだろうか。村では2020年4月スタートの丹波山村第5次総合計画策定にあたって住民アンケートを実施した。これがなかなか興味深い。環境保全、交通、医療、教育など30項目の評価では、マイナス評価は「買い物の便利さ」「バスなどの公共交通機関」「病気になったときの医療」の3項目のみ。
村の住みよさについては「住みよい」が18.6%、「どちらかといえば住みよい」が49.3%で合わせると67.9%が肯定的な評価だ。今後の居住意向も「住み続けたい」が66.4%に達している。住民たちの多くが現状の村での生活に満足している様子がうかがえる。
その住民アンケートでは、将来に向けて「村づくりの力を入れるべき分野」も聞いている。そこで最も多かったのが「村づくりを担う人材の確保・育成」(37.5%)、次いで「地域産業の振興、雇用の拡大」(28.0%)だった。
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