年間出生数10人未満の自治体が96もある衝撃 各地域では若手の人材の確保も急いでいる

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ネックは交通網整備の遅れ。鉄道がなく、道路網は県道3路線と高野龍神スカイラインが中心。そこで地域高規格道路の整備促進、県道の整備促進、路線バスの維持・確保などが主要施策となっている。

村には豊富な観光資源がありながら、観光客数は伸び悩み、大半は高野山からの日帰り・立ち寄り客だという。観光・交流資源の充実や体験・滞在型メニューの開発などが課題だ。

そんな野迫川村の世代別人口は、子ども人口がわずか17人(4.66%)で、老年人口は185人、実に総人口の50.7%を占めている。20~30代は合わせて52人しかいない。対策を急がないと村の担い手は減る一方だ。しかも2年連続で出生者がゼロとなっているだけに深刻だ。

子育て支援も拡充させている

それだけに子どもや子育て世代への支援は手厚いものがある。2年に1度、村の負担で中学生を対象にグアム島への語学研修を行っているほか、保育料の無償化、給食費無料化(保育園から中学校)、18歳までの医療費無償化などを実施している。

また、旧小学校校舎を改修した移住・定住促進のための体験施設「ぶなの森」をつくり、生活希望者を受け入れている。地域おこし協力隊のメンバー4人は、特産のきのこ栽培を通じた6次産業化分野などで活動中だ。

「のせがわスマイルプラン」では、「天空の國 野迫川 夢を持ち、夢が語れる村」を目指し「産業」「観光」「移住」「結婚」「子育て」「安全」などをキーワードに第2期総合戦略の体系を組み立てている。「夢」に向かっての新たな取り組みはスタートしたばかりだ。

丹波山村、野迫川村ともに1889年の町村制施行以来、130年以上も単独の村として存続してきた歴史ある自治体であり、豊かな大自然も共通している。日本のふるさとの原点のような村が、人口減という脅威にさらされているのだ。両村に共通しているのは、鉄道が通っていないこと、若者の働く場が少ないこと、そして高校がないことだ。

これは2つの村に限った話ではない。若者たちが流出し、高齢者が増え続ける日本の地方が抱える共通の課題だ。高校がない村では、進学時に子どもだけではなく一家で転出してしまい、そのまま戻ってこないケースが多いという。教育環境の重要性を物語っている。

出生者10人未満の町村が、どうやったら生き残っていけるのか。地方創生政策の中で、東京一極集中の解消とともに、実現可能な地域活性化に向けた具体策を国がバックアップしていく必要もあるだろう。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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