Go Toトラベル是非より日本人に必要な視点 お盆休み、一斉休日取得が観光地をダメにする

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縮小

観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると、2019年の日本国内の消費総額は28兆円弱とされ、うち約5兆円が訪日外国人によるものです。2020年以降どの程度縮小するか定かではありませんが、訪日外国人による消費額は当面ほぼゼロに近いレベルまで縮小するでしょう。日本人の国内旅行消費額についても2020年1~3月ですでに全国レベルで昨年から20%減少しており、これが4~5月はゼロに近い水準まで落ち込んでいます。

このように、コロナ・ショックで失われる観光消費額が、年15兆~20兆円規模になることも見込まれる中、Go Toトラベルキャンペーンの1.1兆円の予算全額を直接給付に回しても、「焼け石に水」程度の効果しか持ちません。一方、Go Toトラベルキャンペーンのような「誘因型」の効果の裾野は圧倒的に広くなります。

Go Toトラベル効果は、直接給付の4~5倍

たとえば、今回のキャンペーンを利用し白馬で1泊1万円の宿泊施設を予約、3500円の補助を受けるケースを想定してみましょう。正確な統計を取っていないため仮定の数字になりますが、1泊朝食付き1万円の宿に割引で宿泊できるようになることで新たに旅行したいと思う観光客が普段より50%程度増加できるものとします。

普段より増えた旅行客が旅先の白馬エリアで2000円のランチと3000円のディナーを食べ、また、ゴンドラリフトなどの観光施設で4000円程度消費。さらに1人2000円程度のお土産も購入してくれるかもしれないし、長野駅からの往復4000円程度のバスにも乗車することでしょう。こうして、3500円の政策的投資は、旅先エリア内だけでも1万円以上の効果(1人当たり消費総額25,000円×期待確率50%)を生み、エリアへの交通費も含めると、直接的な給付より4~5倍程度の効果を持つことになるのです。

感染者が爆発的に増えているタイミングに実施したという開始時期の話を除けば、Go Toトラベルキャンペーン自体は合理的な施策であり、コロナで疲弊した地域経済にとっては有効なカンフル剤となることでしょう。

しかし、このカンフル剤も無限に打ち続けられるものではなく、コロナ・ショックも短期的に乗り切ればいい、というものでもなさそうです。カンフル剤が効いている間に本質的に観光地の在り方を変え、経営体力を強めるために必要なことは何か。それが「稼働平準化」となります。

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