A「お役所仕事ってやつですか? 案件がたらい回しにされたり、進行が遅かったり……」
吉岡「そういうふうになる原因は何だろう?」
A「そりゃ、やる気がないからでしょ。役人は仕事のやり方がわかっていない。もっとビジネスのやり方を見習わなきゃ!」
吉岡「そう考える人多いよね。どこかの市長もそんなことばかり言っていたけど」
A「何か問題あるんですか?」
吉岡「だって、『官僚制』って、もともと間違いなく迅速に命令を実行するために作られた組織なんだよ」
A「ええ! そんなことってあるんですか?」
吉岡「じゃ思考実験してみようよ。上の意図や命令を確実に迅速に実行するにはどうしたらいい?」
A「まずコンセプトを明確にして、実行する人に徹底することですね。各部署に仕事を割り振って、責任範囲を明確にする。もちろん各部署はそれぞれ専門的能力を持って実行します」
吉岡「結果もちゃんとチェックしなくちゃね。口で言うだけでは誤解されるから、文書にして、後から細かいところまでチェックする」
A「各部署は分担を全力で仕上げ、その結果については、報告書を作って上にあげて、できたと判断されたら印が押される。そのチェックも、一段階だけだと不安だから、何段階かでチェック……あれれ?」
吉岡「何か変でしょ? これって、お役所の煩瑣主義や手続き主義そのもの。何でも文書を作るので、万事“スローモー”になる。一字一句にこだわり、重箱の隅をつつくようにチェックする。うまくいっている場合はまだいいのです。でも、トラブルが起こると大変。それぞれの部署は責任範囲が決まっているから、『自分たちのせいではない』と、責任の押し付け合いやたらい回しが起こります」
A「ひえええ……」
組織は意図したとおりに動かない
吉岡「ビジネスだって組織だから同じですね。スムーズに実行できるはずの理屈が、かえって非効率な結果を生む場合もある」
A「じゃあ、ボクたちの職場も、今年、大混乱するかも」
吉岡「そうなる可能性、大アリだね。上の方針を確実に実行したかどうか、報告書を書かなければならなくなったり、理解が遅い人にはレクチャー・研修を開かねばならなくなったり……」
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