新作のLGBTコンテンツを最も多く提供するのがNetflixであることもわかりました。Netflixが1億9300万人(2020年7月現在)の有料会員数を抱える世界最大手の動画配信サービスであることから、その結果は十分予想できることでありながらも、文化や言語をはじめ多様性のあるコンテンツをそろえるNetflixならではのセクシュアリティーに対してもポリシーを表すものでもあります。
NetflixのLGBTドラマシリーズの代表作として挙げられる『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』は7シーズンにもわたって展開された全91話(1シーズン13話)で完結するドラマです。裕福な家庭で何不自由なく育った主人公パイパー・チャップマン(テイラー・シリング)が、若い頃に犯した麻薬密輸の容疑で刑務所に収監されるところからストーリーが始まります。
ブロンドの美人で、優しい男性の婚約者がいる白人女性が主役というアメリカドラマのテンプレは初期設定のみ。レズビアンもバイセクシュアルも個性の1つとして、塀の中で生き生きしたキャラクターの女性囚人たちの人間模様が描かれています。社会派コメディーとジャンルづけされるように、笑えて泣けて、人種差別や格差社会の現状も考えさせる奥深さも備わっています。
原作の『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 女子刑務所での13カ月』の著者、パイパー・カーマンの実体験がもとになっていることにもすごみが増しています。
実写化は今年7月16日に任命されたNetflixの新共同CEOテッド・サランドス氏が最高コンテンツ責任者としてオリジナルコンテンツ製作を推し進める中で生み出された作品の1つとも言われています。時代のニーズを捉えるコンテンツの目利きがイチオシする作品でもあるのです。
LGBTとミレニアム・Z世代はマッチング度が高い
Ampere Analysisのレポートでは、動画配信サービスがLGBT関連ジャンルに強い理由を視聴者の人口構造と関係していることだと強調しています。LGBTコミュニティーに属している層や支持している可能性が最も高い層の年齢区分は18~34歳。これは動画配信サービスの加入率が高い年齢層とも一致しています。ミレニアム世代やZ世代とのマッチング度の高さゆえに、動画配信サービスでLGBTコンテンツが提供されているというのです。
記事(「Netflix流リアリティショーはクズ男も主役」)で紹介した『クィア・アイ』シリーズもNetflixを代表する人気リアリティショーであり、LGBTジャンルの代表例です。タイトルにあるように、セクシュアルマイノリティーを総称する「クィア」な5人組の視点で、応募者の人生をキラキラに改造していき、ミレニアム世代やZ世代から人気を得ています。
「クィア5」メンバー、アントニ・ポロウスキ(フード・ワイン担当)、ボビー・バーク(インテリア担当)、ジョナサン・ヴァン・ネス(美容担当)、カラモ・ブラウン(カルチャー担当)、タン・フランス(ファッション担当) の5人はこの番組をきっかけに人気を集め、それぞれ活躍の場を広げています。
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