平均寿命更新で再考したい「老後のお金」の真実 あなたは何歳まで生きる準備をしていますか

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興味深いのは、相続セミナーに訪れる60代、70代の人たちです。残りの人生も多くないと考えていたにもかかわらず、まだまだ生きる可能性があると理解するため、相続対策で資産を子どもたちに移転するどころではなくなります

あらためて現状を知って驚き、方向転換するほど、寿命の情報については想定外なのです。中には「知りたくなかった」という人もいますし、家族が早逝していることを理由に「私は長生きしないから大丈夫です」のようなコメントをくださる人もいます。

寿命がわかれば亡くなるタイミングをゴールにしてお金の計画を立てればよいのですが、当然そのようなタイミングはわかりません。だからこそ、国の統計である簡易生命表の読み解きが大切になります。平均寿命で亡くなるということは、比較的若くして亡くなることを意味するのです。

長生きするか否かは、日々の積み重ねによる健康状態のほか、遺伝的要因、災害、事故などの要素もあるでしょう。だからこそ、よくないことが起こっても、経済的に困窮しないよう、多くの人が生命保険や損害保険に入るのです。

何歳まで生きる前提で準備すべきか

今後のライフプランを検討し、資金繰りを考えたい人は、少なくとも平均寿命+10歳くらいまでの生活設計を準備したほうがよさそうに思います。女性は97歳、男性は91歳まで考えるべきですし、100歳までの資金計画を立てることは「やりすぎ」とはいえないのです。

筆者は、年齢に関係なく100歳までの資金繰りを作成します。100歳まで老後資金が持つ人は20世帯中1世帯くらいの割合というのが肌感覚です。老後にお金が不足すると、マイホームを売却するという選択が出てきますので、背伸びした予算のマイホーム購入者は一様に青ざめます。

平均寿命まで生きていたらラッキーと考えている人は、平均寿命までに亡くなる人のほうが少ない、という事実を認識されるとよいでしょう。平均寿命までに亡くなる割合は30%台です。平均寿命以上に生きそうだととらえるといいでしょう。

「人生100年」といっても大げさではないことがおわかりいただけたでしょうか。

もしあなたが後期高齢者に該当する75歳になって、自動車運転免許証を返納した場合、100歳まで生きることを前提に考えると、25年間運転できない期間が残ります。自動運転やオンデマンドな交通機関が必然的に求められます。

筆者の専門の1つである家計の側面で考えれば、運転免許証の返納と同時に自動車を手放せば、自動車の保有・維持のための費用は軽くなります。しかし、交通手段を外注することで、費用の負担感が出てきます。あるいは、家族(子どもなど)のドライバーとしての役割負担が出てきます。

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