平均寿命更新で再考したい「老後のお金」の真実 あなたは何歳まで生きる準備をしていますか

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40代、50代の責任世代は、子どもの世話以外に親の生活補助が加わると、心にゆとりが欠けてきます。個人の努力だけでこの状況を乗り切るのは、困難といわざるをえません。このような生活環境の変化を柔軟にとらえたサービスが、官民双方に求められるでしょう。

定年が60歳から65歳に延びたところで、100歳まで生きることを前提にすれば、その後のセカンドライフはまだ35年あります。働き続けた期間と同等の老後が待っているのです。

政府は年金を80歳、85歳まで繰り下げる法改正が必要でしょう。企業は定年を撤廃するか、定年を80歳、85歳まで延ばすことも視野に入れるべきでしょう。

夫婦に必要な老後資金は2000万円でない?

老後資金の2000万円問題が記憶に新しいところですが、実際のところ、老後資金はいくら必要なのでしょうか。試算に際しては、金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日)のデータを使用します。

毎月の収入と支出の前提は、年金収入19万円と支出26万円、毎月7万円の赤字とします。毎年84万円の赤字のため、預貯金を取り崩すことになります。

60歳で定年し、夫婦で100歳まで生きた場合、年間の赤字84万円×40年=3360万円の不足が発生します。今の高齢者のように貯蓄が2000万円以上ある人たちも、100歳まで生きたらと考えると老後資金は足りません。親の遺産を当てにしている人は、甘くないと覚えておきましょう。

親が生活できなくなれば、生活保護を受ける前に実家に該当する親の自宅を売却することになります。もしくは、子どもが扶養義務に応じて生活費を補填することになります。

老後資金2000万円問題では、老後資金は2400万円が必要な一方、預貯金が2000万円以上あるため、シニア世代はお金の準備が必要ないというようなまとめ方も見受けられます。しかし、捕捉できていない支出があります。

ほかに老後に考慮すべき資金として、下記のようなものがあります。必要に応じて上乗せすることになります。

住宅の維持費用:10年ごとに100万円として、40年で400万円
介護資金:亡くなる直前に介護施設に預けると、1カ月20万円として(20万~40万円の場合もあります)、1年で240万円、3年で720万円 ※ 在宅介護としても活用可
医療資金:病院で亡くなったとして治療費など50万~100万円
ゆとり資金:月3万円ほどの使途自由な資金として40年で1440万円
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