このとき、ハーバードの学生たちから「日本の広告で、よくグローバル人材という言葉を見るがどういう意味か?」という質問が出たという。ちなみに石橋さんの息子さんたちは「グローバル教育」を、「世界に通用する教育を受けること」、石橋さん自身は「自分で物事を考え、それを意見に組み立て、的確に伝えることができるようになるための教育」ととらえている。
「耳障りのいい掛け声とは裏腹に、今後の世代にとって、この国に住み続けることの合理性は急速に失われつつある」。これもまた、石橋さんが「わかりやすいプロジェクト」を始めた理由だ。まさに、子どもにグローバル教育を受けさせたい、と願う親の危機感と重なる。
わが子を真のグローバル人材にしたい親御さんには、このイラスト動画を親子そろって見てみることをお勧めしたい。そこには小学生の息子から「1年経ちましたね」「何が変わりましたか」「あなたは何をしましたか」と問われ、絶句した、国家プロジェクトにかかわるパパとその仲間からの贈り物がある。そしてそれは、私たちの子どもたちが今後、海外で問われ続ける「問い」への入口でもある。
帰国子女の母が考える、子育てに重要なこと
普段、石橋さんは自分の子どもたちの教育について細かいことは言わないが、ひとつだけ、家庭内で仕事の影響が表れる行動がある。新聞やテレビを見ていて「これは、実は違うんだよ」とよく話すことだ。
たとえば、息子たちが小さい頃、テレビでポケモンを見ているときに「爆発する路上バトルでつかまらないのはなぜ?」などと話しかけていたという。「当時は子どもたちには意味がわからなかったかもれませんが」と石橋さんは振り返る。
こうした父の言動に、息子さん2人とも「影響を受けていると思う」と話す。「新聞に書かれていたり、ニュースでみたりするいろいろな事柄を鵜呑みにせず、違う側面がないのかを考えるようになっていると思います」(長男)。
息子さんたちの家庭教育は、主に母親の薫さんが担った。大学の教職課程で青年心理学を受講した際、「母と子の信頼関係をしっかり築くことが、自己肯定・人格形成へとつながる」と学び、一緒に遊んだり手作りを楽しんだり、愛情を注いできた。
薫さん自身は帰国子女で、中学と大学時代はほぼすべて英語で学んだ。その経験を生かし、息子たちが小学生の頃から英語を教えた。発音やヒアリング重視で「日常会話などを教えてもらった」(息子さんたち)。
一方で「勉強しなさい」とは言わない。言わないというより言う必要がなかった、というのが正確かもしれない。2人とも超有名私立校に通うが、塾で受験勉強を始めたのは小学5年から。それまでは通信教育を自宅でやっていた。
言われなくても勉強した理由は「やるのが当たり前だから」(長男)、「自分のためだから」(次男)という。ちなみに、子どもが勉強しなくて困っている親にどうアドバイスするか尋ねると、異口同音に「言っても無駄なので放っておいていいと思う」という答えが返ってきた。
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