JALがコロナ禍に切り開く「工場見学」の新潮流 2日で1万人参加「リモート工場見学」の魅力

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新しいものを生み出す際に、新しい技術がブースターとなることは多い。

昨今、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などを総称して「xR」(エックスアールまたはクロスリアリティ)と呼ぶ。VRは、アイマスクのように視界が完全にふさがれるため、現実世界が入り込む余地はない。では、ARとMRの違いについてはどうだろうか? なかなかわかりづらい。

ざっくり言うなら、現実世界の中にあたかもそこに存在するかのようにデジタル情報を3Dで表示できるのがMR、2Dで表示するのがARとなる。どちらも現実世界全体がキャンバスとなり、デジタル世界を(グラスやゴーグル越しの)スクリーンに表示するという点では同じだ。

3Dで表現できるMRは、単純にスペックとしての性能が高いため、ARよりも価格が高くなる。開発が進んでいるアップルのスマートグラス「Apple Glasses」はARで、マイクロソフトの「ホロレンズ2」はMRだ。

先駆けて登場した「ホロレンズ2」は、遠隔支援、作業支援、トレーニング支援などの用途で、現在、企業で活用され始めている。工場見学にとどまらず、その可能性は多岐にわたろうとしている。

ホロレンズ2で作業効率向上を目指すトヨタ

例えばトヨタは、今年から全国のディーラーに「ホロレンズ2」を配布し、作業マニュアル、作業支援として使用する予定だ。

作業マニュアルは車種によって異なるため、膨大な量をストックし、それを見ながら作業しなければならない。ところが、「ホロレンズ2」を装着すれば、作業の手順をホロレンズ上に表示できるだけなく、自動車の中に張りめぐらされている複雑なワイヤーハーネスを3D化し、レンズ越しに表示することも可能だ。わかりやすく作業が行え、さらには同じ画面を共有している遠隔者が指示を出すこともできるため、効率性が向上する。

「装着してみると多少の重さは感じるものの、レンズを覗くとパソコンのウィンドウを自分の手でつまんだり、タップするときも3Dに奥行きを持たせながら操作できるので、とても未来感があると感じました。もし実際の整備現場で使うとなったとき、機体を見ているだけで情報が出てくるので、新しい整備のあり方を考えてしまいました」とは、先のJALリモート工場見学で実際にホロレンズ2を装着した整備士の声だ。

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