日本史の「新テスト」で問われる"思考力"の正体 大学入学共通テストの押さえるべきツボ
最後に、資料Ⅱの注をチェックしてください。そこには「清国はイギリス・アメリカ・フランスに片務的な最恵国待遇を認めていた」と書かれています。
「最恵国待遇」とは、一方の締約国が第三国に対してより有利な待遇を与えた場合、他方の締約国に対しても同様の待遇を与えることを約束するものです。清国とイギリスとの関係に注目すれば、清国が第三国である日本に対して有利な待遇を与えた場合、イギリスにも同様の待遇を与えることになります。
ここに資料Ⅱから読み取った情報を総合すれば、④が最恵国待遇によってイギリスにも適用され、その影響により、それらの都市がある地域(華中・巴蜀)がイギリスの勢力範囲となったと判断できます(正解③・④)。
3つの対応法
これらが思考力・判断力等を問うた典型的な問題です。こうした問題に対応するにはどうすればよいのでしょうか。
思考力・判断力等が試されるからと言って知識が必要なくなるわけではありません。それなりの量の歴史用語を知識としてもっておくことが必要です。それも、用語を覚えているだけでなく内容や背景、特徴を理解しておくことが不可欠です。
対策としては、センター試験の過去問を素材として演習を積むことを勧めます。その際、選択肢の正誤判定を教科書で確認しながら答え合わせすると効果的です。覚えているかどうかを試すのではなく、教科書を読み、用語・出来事の内容や背景をインプットするための手段として問題を解くのです。
特徴をつかむには、前後の時代・時期どうしを対比することが必要です。そして、対比するには視点の設定が不可欠です。言い換えれば、問いをもつこと、問いを立てることが対比の出発点となります。
とはいえ、なかなか自分1人では問いを立てられませんから、適した参考書などを選んで参考にするとよいでしょう。
資料の内容を適切に読み取ることができるかどうかは、すでにセンター試験でも問われていました。ところが共通テストでは、そこにとどまらず、読み取った情報と習得している知識とを結び付け、関連づけて考察することが求められます。そのためにも普段から資料を読み、教科書の知識を素材としながら考える練習が必要です。
それらの素材を提供する参考書などを積極的に活用してください。そして、知識を覚えるだけでなく、文章を読み、知識・情報をつなぎ、比べながら考える作業を意識的に取り組んでください。そうすれば、共通テストは確実に攻略できます。
皆さんの努力が来春の合格につながることを願っています。
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