日本史の「新テスト」で問われる"思考力"の正体 大学入学共通テストの押さえるべきツボ
次は、2018年解答番号32です。
これもすべて正しい選択肢が並んでいます。そのなかから、設問での設定に即して適当なものを選ばせる問題です。先の問題が、1つの時代・時期を多面的に理解できているかどうかを問うていたのに対し、こちらは、歴史上の事件・出来事(この場合は「吉野の理論」)を多角的に捉えているかどうかを試したものです。
設問では「時代的な限界」との表現が用いられていますが、「現在の日本国憲法の基本原理と比較」したうえでのことですから、吉野作造の理論を日本国憲法の基本原理と対比し、その相違点を考えれば正解を導くことができます(正解①)。
情報と知識を結び付けることができるか?
次は、2017年解答番号17です。
資料文(生徒が作成したまとめ)を素材としながら、歴史的な事実・出来事の背景を問うたもので、資料から情報を読み取り、その情報と習得している知識を総合して考えることを求めた出題です。
資料文には「北海道」、「富山市」「福井市」「北九州市」「神戸市」「大阪市」、「鹿児島市」「那覇市」、そして「中国」という地名・国名が出てきます。これらの情報を手がかりとして地図を思い浮かべつつ「近世」について習得している知識を活用することが求められています。
「富山」「福井」「北九州」「神戸」「大阪」は、日本海側から瀬戸内海、大坂を経て江戸にいたる西廻り海運に沿った地域です。一方、「鹿児島」は島津氏(薩摩藩)の領地であり、島津氏は「那覇」のある琉球王国を支配下に置く一方、琉球に「中国」(明・清)への朝貢を継続させていました。こうした知識を思い浮かべ、総合することができれば、正解が導けます(正解①)。
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