志願者数が増える医学部の知られざるカラクリ 1回6万円の受験料で大学も受験生も損なし
現在、日本には国公立・私立・大学校合わせて82の医学部があり、入学定員は約9000人だ(国公立大5375人、私立大3468人、防衛医科大学校85人/2020年度、各校の募集人員から)。
高度経済成長期の1973年、各都道府県に1つ以上の医学部を設置するという「1県1医大構想」が閣議決定され、全国各地に医科大学や医学部が次々と新設された。しかし「医師過剰」の声が上がり始め、2003年には文部科学省が医学部新設を禁ずる告知を出した。
その後、医師が都市部に集まってしまい、結果、地方の医師が不足するという「医師の偏在」が指摘。2008年には「緊急医師確保対策」として、医学部入学定員を増やす政策に舵を切った。
人口10万あたりの医師数が全国で最も少ない埼玉県
厚生労働省は2年ごとに医師、歯科医師、薬剤師などの人数を公表している。2019年12月19日に公表した2018年末時点の全国の医師数を見ると、女性医師が7万人を超えて全体に占める割合も21.9%と過去最高になった。全体の医師数も32万人を超えて、過去最多を更新した。では、人口10万あたりの医師数はどうか? 地域別に見ていこう。
全国平均は258.8人で、青森県や岩手県、福島県や茨城県など東日本で下回っている県が顕著となり、全国で最も医師数が少ないのは埼玉県の169.8人だ。逆に人口10万あたりの医師数が最も多いのは徳島県の329.5人、ほかに300人を超えているのは東京都、京都府、和歌山県、鳥取県、岡山県、高知県、福岡県、長崎県という結果であった。
人口あたりの医師数は「西高東低」であり、全国平均を上回っている都府県でも、離島や山間部などでは医師不足に悩まされているという。
患者やその家族から感謝され、年収も高い職業である医師。「将来、多くの命を助けたい!」と思う学生や、子を医師にしたいと願う親も多いだろう。
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