日本史の「新テスト」で問われる"思考力"の正体 大学入学共通テストの押さえるべきツボ

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次の問題を見てください。2018年解答番号7です。

資料(写真と地図)が用いられていますが、情報の読み取りは求められておらず、用語を正しく理解できているかどうかを問うたものです。

まず、官道(七道)と駅家が中央と地方とを結ぶ公的な情報伝達を目的として整備されたとの知識を使えば、bが適当な説明文だとわかります。次に、地図とYには「条里制」という用語が記されており、条里制が土地を区画して管理するためのシステムだとの知識を活用すれば、dが適当な説明文であることが判断できます(正解④)。

見かけは異なりますが、問うている内容はセンター試験の延長線上にあります。

時代・時期ごとの特徴を理解できているか?

次は、2018年解答番号31です。

まず注目したいのは、すべて正しい文章が選択肢として並んでいる点です。すべて正しい文章のなかから、まず、設問で設定された時代・時期にあう適当なものをピックアップさせようとしています。言い換えれば、時代・時期ごとの特徴を理解できているかどうかを問うているのです。

Bさんの発表は「大正から昭和初期」が対象なのに対し、①は1880年代半ば、学校令が定められ、小学校を対象として義務教育が制度化された時代についての説明であり、②は「啓蒙思想」から明六社を思い浮かべることができれば1870年代についての説明だとわかります。一方、③「洋装やカレーライスなどの洋風生活が普及」、④「高等教育機関が拡充」(例えば大学令の発布を思い浮かべる)は大正〜昭和初期の説明文として適当です。

こうして選択肢を2つに絞り込ませたうえで、設問での設定にあう適当なものを選ばせようとしている点にも注目したいところです。

リード文によれば、「新聞や総合雑誌の発行部数の急激な増加、円本の発刊など、マスメディアが発達し」た背景が  X  なわけで、この設定に合致するのは④だと判断できます。

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