「人口比感染」23区最少、江戸川区の下町モデル 10万人当たり感染者は新宿と大きな差がある

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斉藤区長自身、先の講演での質疑応答でこう語っていた。

記者会見上での江戸川区の斉藤区長(写真:江戸川区提供)

「行政上がりなので政治的な動きは苦手で地味なのかもしれない。区の仕事は、積み重ねていくと1371の仕事に分類されます。そのほとんどが地味でやって当たり前のことばかり。こういうことが起こらないと注目されない仕事ばかりです。

行政経験を活かして区の職員全体で乗り越えていければと思っています。医療体制に関してはトップダウンで、生活支援に関しては現場の職員がよく知っているので、職員から提案してもらったところ1000を超えたということです。オール職員一体で何とかやりたい、というのが私の思いです」

地域一体の感染対策がカギとなる

都内の感染者数が急増し始めた7月以降、江戸川区でも感染者が増加傾向にあり、感染経路も5割が不明という状況だ。区外飲食店での感染によって家族や職場に広がっているケースが見られるため、日中、都の中心部へ通勤・通学する区民に向けて、7月27日から区長をはじめ区の幹部が駅頭で感染防止を呼び掛けている。区のシンボルである「タワーホール船堀」のライトアップも開始した。

こうした区の姿勢を意気に感じた下町気質の住民たちが協力し、地域が一体となってコロナに立ち向かっている。国や都に依存するのではなく、地域コミュニティの中で行政と住民が手を携えて災禍に立ち向かっていく。江戸川区は、そんなモデルを構築してるからこそ、感染拡大を防ぐことができているのではないだろうか。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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