たとえば、8月1日は12人の感染者の情報が一覧表でアップされていた。
さらに、表外にはそれぞれの患者について、以下のようなチェック事項が記載されている。
「1番の患者:発症日以降の外出はありません。接触があった方は江戸川保健所が把握しています」
これらのデータを見れば、区民の関心も高まるだろうし、具体的な感染状況を知ることで冷静な判断材料を得ることができる。
江戸川区の自殺者は4月はゼロ
区の取り組みに区民や区内の事業者も一体となって協力姿勢を見せてきた。その象徴が区民や事業者などからの募金や支援物資の数々だ。総額6165万円の寄附金(うち医療従事者応援寄附額は2365万円)、マスク33万枚、消毒液、携帯型自動翻訳機、飲料水、清掃ロボットなどが寄附された。
さまざまな取り組みは、感染拡大防止だけでなく、思わぬ副次効果をもたらした。新年度が始まる4月は、どの地域でも自殺者が年間でもっとも多い月である。江戸川区でも2017年は18人、2018年は13人、2019年は16人の自殺者があったが、今年はなんとゼロだった(5月は6人、6月は0人、7月は集計中)。
「専門家の方にお話を伺ったところ、災害時には気分が高揚して、一致団結して乗り越えようという気分になる。問題はこの先、反動が出るんじゃないかとお話されていました」。6月30日に日本記者クラブで江戸川区のコロナ対応を講演した斉藤猛区長はこう言って気を引き締めていた。
江戸川区がいち早く独自の対応を取れたのは、斉藤区長が区の職員出身で、行政経験が豊富なうえ、住民のニーズを熟知していた点も大きいと思われる。
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